《放蕩者》バブル時代の東京

 

バブルの時代に、僕の友人は、1億円の遺産を現金で相続した。
しかし、3年たったら全くの一文無しになってしまっていた。

僕は、「君も、株や土地に投資したんじゃないの?」と聞いてみた。

「いやそうじゃないんだ。知らないうちに、いつのまにか無くなってしまったんだよ」との答が返る。

「そりゃおかしいよ。よーく考えてごらん」

彼はしばらく考えて僕に言った。
「2500万円は確か、酒を飲んだんだっけ」

「それでもまだ7500万円残ってるじゃないか」

しばらく頭をひねった後、
「そうそう、2500万円は女につかったなー」と、答えた。

「まだ5000万円あるけど」

彼は、必死で考えて、やっと思いついた。
「2500万は、旅行してたら消えちゃったんだ…」

「ほらわかってきたじゃないか。あと残りの2500万円の使い道だよ。酒と女と旅に7500万円つかって、残りは何かしたんじゃないの?」

彼は、頑張ってあれこれ考えていたが、ついにこう言った。

「残りの2500万円の使い道が、どうしても思い出せないんだよ。くやしいなー、きっと2500万円は無駄使いしちゃったんだ!」

(酒、女、旅は無駄じゃない)

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