《世界旅行者先生には、LAXに迎えの車が来る》(december,1999)

まあ、僕は世界旅行者なのだから、世界各地で、様々な人に出会い、そのほとんどすべての人たち(なんと、5パーセント弱!)から、尊敬されてきた。

もちろんこの5パーセントの人たちというのは、世界の上流階級に属する人々だ。

僕は、日本のいわゆる旅行通諸君、旅行好き諸君、旅行ベテラン諸君、マスコミに踊らされ利用されるだけの「旅行家」諸君、つまり、日本社会からオチコボレた人たちに、非常に評判が悪いのだが、それは、僕が彼らのような「オチコボレ」ではないからなんだよね。

僕は自分からすすんで、こちらから、日本社会に愛想を尽かした人間なんだよ。

愛想を尽かしたと、僕が最終的に宣言したときは、日本が、「お願いだから、捨てないで、なんでもするから。アナルもOKよ!」と、すがりついてきたものだ。

僕はアナルに趣味がないし、ポコチンが太くて、無理にアナルに入れたら、日本が崩壊するだろうと、ていねいに、お断わりした。

こういう人間だから、僕は、知的で、個性的で、金があって、育ちがよい、つまり、すべてに余裕のある人たちには、非常に評判がいい。

 

今回、僕をLAX(ロサンジェルス国際空港)に、胸をときめかせながら、新車のBMWで迎えに来る若者は、去年、僕がLAで出会って、人生を語り、文明を論じた。

彼は、それまで、金があって格好いいので、人生をなめて、強姦、輪姦、獣姦、と好き放題に、生きていた。
しかし、僕の「世界旅行主義」に感銘を受けた結果、まったく新しい世界が開けた。

もともと頭がいいので、猛勉強をして、今年CPAに合格し、アメリカの会計事務所で働き始めたという、本当に家柄のいい、前途有望な長身の美男子だ。

彼は、LAの安ホテルなどに泊る必要もなく、大金持の親に頼んで、LAにマンションなど二つ三つ、簡単に買ってもらえるのだが、「去年お会いした世界旅行者先生に会って、お礼が言いたい。またお話を聞きたい」と、わざわざ安ホテルに泊って、年末には僕が来るだろうと、僕をじっと待っていた。

ところが、今年、僕はなかなか、LAへ行かない。
それで、痺れを切らして、「西本先生、いついらっしゃるのですか。びっくりさせようと、ずっと待っています。もし会ってお話できないなら、僕は絶望して、死んでしまいます…」と、e-mailを送ってきたというわけだ。

そんでもって、僕はちょうどLAへの片道切符もあったので、そろそろLAへ飛ぼうかと思う。

「地下鉄で行くのも疲れるから、キャデラックで迎えに来い!」と返事をしたら、「BMWしかないんですが、よろしいでしょうか。幼いころから、ヨーロッパ車しか乗っては駄目だといわれてますので。でも、西本先生がどうしてもとおっしゃるなら、買い換えます」という、返事だ。

僕は、キャデラックしか車の名前を知らなかったからキャデラックと言っただけなので、BMWとかなんとかいうものでもいいと答えた。
車なんて、タイヤが4つついて、動けばいいんだからさ。

それで、彼は、僕と、LAXで会う。
感動の涙を流しながら。

そして、僕は彼に、彼が待ち望んでいた、一言を口にするだろう。

「君は、世界旅行者協会に入る資格がある!」と。

まー、こういうレベルの高い人間は、僕の真価がわかるんだねー。

日本の出版業界に、まともな人間が居れば、僕はとっくにベストセラーを出して、毎日朝から、ビフテキ食って、ワインを飲んで、身体がとろとろになるまで、キャンギャルや新人アイドルたちと、バックや騎乗位でがんがんセックスしているだろう。

そんな楽しい生活が、できないのは、日本の出版業界のレベルが、低いからだよ!

ぐずぐずしていると、僕は英語でベストセラーを書いちゃうよっ。

(BMWの出迎え)

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