《人生も、海外個人旅行も、セックスも無理をしてはいけない》
さて、海外個人旅行に出ようと考えただけで、海外個人旅行に出られるわけではない。
海外個人旅行に出るためには、神からの「よし、海外個人旅行に行け!」というゴーサインが必要だ。
これを間違えると、海外個人旅行には出られないし、出たとしても大失敗になってしまうよ。
僕が以前から、「世界旅行主義」を唱えていることを知っている人も多いだろう。
それがウザッタイと考えている人もいるだろうが、そんなことを考えているからキミは、旅行の神からの罰によって本格的な海外個人旅行に出られないんだよ。
ここで初めての人に簡単に説明しておくが、「世界旅行主義」の基本は「三位一体理論」で、それは「人生=旅行=セックス」という奥深いものだ。
一番わかりやすいセックスを例に取ると、自分でいくらセックスをしようと決心したとしても、それだけでセックスができるわけではない。
やはり、セックスさせてくれる相手が必要なのだ。
セックスさせてくれる相手がいないのに無理やりセックスしようとすると、「強姦」と呼ばれて刑務所行きになる。
海外旅行の場合は、無理矢理に強引に旅行に出ても、普通は刑務所行きにはならない。
ただ海外旅行自体が大失敗に終わって、金も時間も使ったのにちっとも面白くなかった、わざわざ行っただけ大損だったという話になるわけだ。
例えば、1998年の冬、僕がLAにいて、それを利用してベネズエラに行った場合のようなものだね。
この時はLAからベネズエラの首都カラカスへの航空運賃がいやに高く、また出発時間は深夜で、さらにカラカスへ到着するのに、コスタリカのサンホセで乗り換えがあったりして、ものすごく時間がかかった。
しかも、LAの空港のチェックインカウンターで、「あなたはベネズエラのビザがないので乗れません!」と搭乗拒否に遭ってしまった。
そこで、ガイドブックを見せたり、規則ではツーリストカードがあればビザなしで入国できることを(もちろん英語で)説明して、なんとかクリアする。
航空運賃が高く、フライト時間が長く、出発時間が深夜で、搭乗拒否にあう。
あとで考えると、これだけ悪い条件なのに、無理やりベネズエラへ行くことはなかったね。
強引に旅に出た結果、カラカス空港の観光案内所で嘘を教えられ、カラカスへのタクシーにはボラれ、予定していたホテル料金が高く、別のホテルには宿泊拒否された上に、やっと見つけたホテルは無愛想そのもので、町へ食事に出れば人種差別されるという、まあ最低の旅行になってしまった。
このように、無理に旅に出ると大失敗に終わる。
旅に出ていいときは神によって決められていて、そのときは出発前から、旅に出やすいように自然と物事が流れていくことになっている。
例えば、僕が1999年にアジアを横断したときだ。
この時は、アジア横断をしようなどとは全く考えていなかったのだが、たまたま個人ではイランビザが取れないという噂を聞いて、「そんなことはないだろう!」と、自分でイランビザを取りに行ったのがきっかけだった。
ちょっとイラン大使館に行って話を聞いたら、大金を出して旅行代理店に頼まなければ無理、個人では絶対に不可能と言われていた30日滞在の観光ビザが簡単に取れてしまったのだ。
このとき、イランへ陸路入国のビザを取ろうという理由で、その前にパキスタンのビザを申請すると、普通は一週間かかるはずのパキスタンビザが僕だけ特別に翌日発給さる。
ついでに、中国のビザを取りに行ったら、中国大使館そばの旅行代理店で、僕に対してだけ特別に安くしてくれて、しかも早く簡単に取れてしまい、おまけにレバノンのビザ、調子に乗ってシリアのビザまで取ってしまった。
アジア横断なんかしたくなかったにもかかわらず、これだけビザを取ってしまったら、これはアジア横断しないわけにはいかないよね。
だって、神様が「世界旅行者よ、アジア横断をしろ!」と言っているんだから。
だから流れるままに、ちょこっとアジア横断をしてしまったが、その旅の中で、いろいろと興味深い話のネタがたくさんできて、それによって僕の最初の本「間違いだらけの海外個人旅行」の内容が、ぐっと厚みを増したわけだ。
2000年夏のラオス旅行、これも、バンコクへのエアーインディアの航空券が安かったから、ただそれだけでバンコクへ行った。
すると、泊まったホテルのすぐ近くのバンコク中央駅で、なんと翌日のラオス国境の町ノンカーイへの夜行寝台列車の席があっさりと見つかる。
ラオスの首都ビエンチャンでは、なかなか取れないという噂のビエンチャンからルアンプラバンへの航空便が、フライト前日の午後に最後の一席にすんなりと予約が入ってしまう。
さらに、その飛行機でシニアボランティアの人と知り合って、家に泊めてもらったり仕事を手伝うなどして面白い話ができた。
安い切符で旅に出たら、予約も何にもしないのに自然と旅ができて、面白いネタができる。
これが神に祝福された、神に導かれた旅の典型だよ。
これは、また当然のように、「旅は(そして人生も)無理をしないでキモチよければそれでいい」という哲学的なテーマの、僕の第二弾「これが正しい海外個人旅行」として結実した。
2001年春に西アフリカ旅行へ出たときも、成田からモスクワを経由して西アフリカの中心都市ダカール(セネガル)へのアエロフロートの往復航空券がたった9万円と安くて、それが西アフリカ旅行へ出た理由だった。
だいたい切符が安いということは、神が「世界旅行者よ、西アフリカへ旅に出なさい」と命じているのだからね。
この西アフリカ旅行でも、とんでもないことが次々と起きて、僕の第三弾「大人の海外個人旅行」の冒険旅行記として、まとまった。
普通の人は、旅を一生懸命調べて、本を読んで、予約をしまくって、無理に旅をするのだが、世界旅行者は、何も考えず、何も予約せず、ただ、旅の流れにうまく乗っているだけなのだ。
ところで、2002年の海外旅行の状況を、ちょっと考えてみよう。
2001年9月11日の米国同時多発テロ以来、アフガニスタンで戦争が起こり、また、パキスタンとインドの紛争も拡大したままだ。
また、2002年はじめには、米国によるイラクへの攻撃が開始される可能性が非常に高い。
こういうときは、旅行の神が「アジア横断なんて、してはいけない!」と言ってるのだから、もちろんアジア横断は止めるべきだ。
さらに、どうやら現在アエロフロートのダカール便が運行を止めているという噂がある。
まあ、アエロフロートという会社自体が、世界各地へのフライト計画をしょっちゅう変える面白いところなので、たまたまある時期に日本から西アフリカの中心都市への安い航空便がなくなったという意味は、「今は、西アフリカへ行くな!」ということだよ。
それなのに、わざわざヨーロッパ経由などにして、高い金を払って、無理に西アフリカへ行ったとしたら、絶対に旅は失敗することになる。
それは、自然の流れに逆らっているからだ。
また、僕の伝説の世界一周旅行の場合、日本のバブルの最盛期の1987年秋、ちょうど「おにゃんこクラブ」が解散コンサートをしたときに、日本を出発したわけだ。
このころは、まだ世界中にそれほど日本人旅行者も多くなくて、世界各地での旅行社や現地の人との出会いも、なかなか興味深いものだった。
だから、日本がバブルの時期に世界一周していれば、それはそれだけで、ある程度、意味のあることだったんじゃないかな。
でも、今現在は、日本から、リストラされた会社員や、就職先のない大学卒業者が、うじゃうじゃ世界一周をしていて、世界一周自体がちっとも珍しいことではなくなった。
また、旅行者自体も、くだらない馬鹿旅行本を読みまくって、中途半端な間違った旅行情報を詰め込んだ、個性のない、話の面白くない、人間としてもレベルの低い人たちばかりなので、話のネタにならない。
さらには、世界中の人たちが日本人旅行者に慣れて(飽きて)しまって、現在では、日本人男性旅行者はいいカモ、女性旅行者はセックス相手、としか見てくれないので、人との出会いも疲れるだけだ。
つまり、旅行の神は、「もう世界一周は時代遅れだ。そんな馬鹿なことは止めなさい!」とおっしゃってるのだ。
だから、そこを自分の気持ちだけで強引に世界一周に出ても、ちっとも面白くないし、帰ってきても誰も評価してくれない。
まあ、みんなが世界一周をやり終えてから、いまごろ世界一周に出るようでは、基本的に時代感覚がズレてるわけだ。
そういうことを考えること自体、感性がダメなので、何をやっても、もちろん世界一周をやったところで、全く意味がない
とこのように、僕が上海へ行くと決めても、それだけでは、上海へは行けない。
だから僕は、神の指し示す方向を考えていた。
すると、神からの「上海へ行け!」とお告げが下る。
それが、中国のビザの問題だったんだね。