プノンペンのセントラルマーケットへ行き、中央郵便局で絵葉書を出し、ワットプノムで祈り、鉄道駅に寄って、そして空港へ
注:この話は1994年のことです。現在とは物価も両替レートも、社会状況も全く違うことに注意ください。

【プノンペン中央郵便局(2005)】
1994年8月26日の午前中に、ベトナムのビザと航空券の手配を済ませてしまった。
ホント、旅先の時間は、いくらでも詰め込むことが出来るね。

日本にいると、日曜の午前中なんか、ボーッとテレビを見ていると、なんとなく過ぎてしまう。
でも、旅先の一日は、この日のように、いくらでも行動できるんだ。

まず、朝一番で自転車に乗って、ベトナム大使館へ突入した。
そこで個人ではベトナムビザが申請できないと知って、旅行代理店の情報を入手する。

自転車で走って旅行代理店へ行き、ビザの情報を得る。
いろいろ悩んだが、決断してトランジットビザを頼む。

さらに、プノンペンからサイゴン(ホーチミンシティ)、サイゴンからバンコクへの航空券を購入した。
その支払いがドルの現金だったので、銀行で200ドルのトラベラーズチェックを2パーセントの手数料を支払って、196ドルに両替した。

これでもまだ、キャピタルホテルのチェックアウト時間(正午)まで時間がある。
自転車にも乗ってることだし、昨日外側を見ただけのセントラルマーケットへ行ってみた。

マーケットの中央付近には宝石屋が並んでいる。
ルビーが多かったような記憶がある。

それも50ドル程度の価格のものが中心だ。
僕に女の子でもいれば、お土産にするにはちょうどいい値段なんだけどね。

ただ、どう考えてもプレゼントする相手が思いつかないので、諦める。
それから王宮前広場へ行って、川を見ながら風にふかれて涼んだ。

ちなみにここでペプシコーラの缶が2千リエル。
そのあと、キャピタルホテルのレストランに行くと、コカコーラが千リエルだったので、ちょっとぼられたかもしれない。

キャピタルホテルを午前11時45分にチェックアウトする。
シェムリアップへのフライトは午後3時半なので、中途半端に時間がある。

また、自転車は1日で借りているので、まだ使える。
こういうとき、なにをするか?

僕は旅先でちょっとした時間が出来たら、とにかく郵便局へ行くことにしている。
時間がなくても、自分に向けて「何月何日どこどこにて」と走り書きした絵葉書を出せからね。

時間があれば、住所録を見て、友達に絵葉書を出せばいいだけだ。
それで、また自転車に乗って、プノンペンの中央郵便局へ行った。

はっきりいって、この時期のプノンペンは非常に寂れた町だ。
自転車で行った中央郵便局は、まさしく廃墟という雰囲気で、ひと気もほとんどなかったよ。
ちなみに、上の写真の中央郵便局は2005年で、かなりきれいになって人もいます。
1994年は本当にぼろぼろでした。

1994年の中央郵便局は、がらんとしていて、ホールにテーブルだけはあったかな。
そのテーブルで、絵葉書をちょうど20枚書いた。

20枚も書き続けると、手が痛くなるから、これが限界。
窓口へ持っていくと、日本へは一枚当たり「1100リエル」とのこと。

窓口では、「100リエル切手がないので、150リエルでいいか」と言われる。
50リエル(2〜3円)程度は気にならないので、一枚当たり1150リエルで20枚分、2万3千リエル(9ドル/千円)を支払った。

切手を受け取って、自分で千リエル切手と150リエル切手を並べて貼る。
切手を貼った絵葉書を20枚まとめて、プノンペン中央郵便局の窓口に出す。

すると、窓口の女性は僕の目の前で、スタンプをぽんぽんと押し始めた。
ちょっと不思議に思ったのは、押しているのが「AIRMAIL」という青色のスタンプで、切手を避けているところ。

もちろん、発展途上国では、切手を剥がされるのを避けるために郵便局の窓口で切手に「消印」を押すことはよくあるんだが…。
ちょっと不思議には思ったが、「ま、そういうものなのでしょう」と深くは考えなかった。

中央郵便局を出て、近くの丘の上の仏教寺院(ワットプノム)で祈り、500リエル入れた。
そのあと、プノンペン鉄道駅へ行ってみたが、無人で、ほとんど動きはなかった。

キャピタルレストランへ戻って、旅行情報ノートをめくっていたら驚くべき書き込みを発見した。
それによると「中央郵便局の窓口に出した手紙やハガキは、切手を剥がされるので、窓口に出してはダメだ。郵便局横の郵便箱にいれるように」と書いてある。

なるほど!
わざわざ切手を避けて、エアメールのスタンプを押していたのは、あとで切手を剥がすためかー!

すると、僕の20枚の絵葉書は無駄になったのか。
というわけで、次のサイゴンへ行った時は、また絵葉書を20枚書くことになった(涙)。
その時は、「プノンペンから絵葉書を出したけれど、そちらに着かないと思います」と一言添えておいた。
だって、海外から絵葉書を次々に送ると、ウザッタがられる恐れもあるからね。
だいたい海外からの絵葉書というものは、わすれたころに、ぽつっと一枚送られてくる。
そしてその人のことを思い出す、というのが粋なんだからね。

後日談を書いておくと、プノンペンからの絵葉書は無事に日本に着きました。
ただ、切手を見ると、1150リエル貼ったはずなのに、別の安い切手に貼りかえられてました(笑)。

僕としては、絵葉書がちゃんと着いたのだから文句はない。
それどころか、旅先での興味深いネタが出来たので、感謝しています。

さて、シェムリアップへのフライトは、午後3時半。
ハッキリくんとバンダナ君と僕は、キャピタルホテルでタクシーを手配してもらって、空港へと向かいました。

ただ競争がなかったので、タクシー代は4ドルになりました。
とはいっても、空港からキャピタルホテルまでが3ドルだった。

すると、キャピタルホテルが手数料を1ドル取ったのかもしれない。
そんなどうでもいい、セコイことをあれこれ考えられるのも、発展途上国を旅する楽しさなんだよね。

空港までの道路はガラガラなので、あっという間に到着。
国内線の待合室で、缶ビール一本を1ドル。

さてこれから、全世界の旅行者の憧れ、アンコールワットへと向かう。
でも、待合室には、観光客っぽい人はほとんどいないよ。

観光客は飛行機で行かないのかな?
あとで調べると、この時期シェムリアップには、日本国外務省の危険情報が出てました。

【旅行哲学】旅先での時間は充実しているね。
http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20080420