雨季のプノンペンで、国立博物館、王宮、シルバーパゴダで雨に降り込められて、ずぶ濡れになってキャピタルホテルへ戻る

【ドーム屋根が特徴のフランス風セントラルマーケット@プノンペン(2005)】
シェムリアップでまるまる1日アンコール遺跡群を車で見て回った。
翌朝、シェムリアップ空港を発ち、プノンペンへ。

プノンペンの旅行代理店で、ベトナムのトランジットビザと「プノンペン→サイゴン(ホーチミンシティ)→バンコク」の切符を受け取る。

サイゴンへ飛ぶのは翌朝だから、キャピタルホテルにチェックインしたあとの時間は、プノンペン観光にあてることにした。
自転車を借りて、町へ飛び出す。

まずとにかく、セントラルマーケットへ行くことにした。
カンボジアのお土産として何か欲しかったからだ。

セントラルマーケットで、アンコールワットの大きな絵葉書が一枚1500リエル(この時期、1ドルは2500リエル)だった。
またプノンペンの地図と、カンボジア全図を一枚それぞれ2ドルで買った。

僕のお土産というのは、絵葉書と、町の地図くらいなもので、安いんだよね。
特に1996年の2回目の世界一周旅行以前は、僕は海外旅行の写真を撮らないことにしていた。

だから、絵葉書は特に重要なアイテムだったんだ。
海外から絵葉書を書くのは別だ。

海外からは自分自身や家族、友人に絵葉書を送っていた。
それとは別に、旅行記念のお土産として、写真代わりに絵葉書を買ってたものなんだ。

セントラルマーケットの次に、王宮の南のビクトリーモニュメント/勝利記念塔(1958年の独立の記念碑)へ行った。
ここでぼんやり休んでいると、ベトナム人の親子が話しかけてくる。

もちろん、ベトナム語なので何をいっているかわからない。
相手にするのも疲れるので、とっとと勝利記念塔を離れる。

次に、予定していた国立博物館へ行ってみた。
入場料が2ドル。

中を見ると、リンガ(男の性器/チンコ)の石像があったよ。
男性ならば誰でもするように、「チンコがもっと大きく、もっと硬くなりますように♪」と祈る。

ヒンズー教の神ガネーシャもあった。
いろんな仏像があったので、片っ端から祈った。

僕は物事を深く考えない底の浅い人間なので、その像がどういう宗教のものかなど、深く考えない。
でも、とにかく、片っ端から祈る。

世界旅行者としての僕は、いままで、世界中の教会、寺院、モスク、神殿、遺跡で祈ってきた。
だから逆に、祈り残した場合、神様が「他のやつは全部祈っておいて、何でオレだけのけ者にするんだ(怒)」と難癖付けられても困るからね。

祈るのはゆっくりと出来た。
というのは、国立博物館には、なにしろ僕しかいなかったから(笑)。

一つ気が付いたことは、国立博物館で売ってある絵葉書はちょっと高いってこと。
中央郵便局で3000リエル、アンコール遺跡群で1ドルで売ってあった絵葉書が、ここでは2ドル。

とんでもないボッタクリ値段だったよ。
ちょっと休んでいたら、博物館に変にブサイクな日本女と、旅行についてわかったようなことを言う日本男が入ってきた。

1994年だと、プノンペンにいること自体でも、一応旅行自慢ができたわけだ。
だから、バンコクからプノンペンに飛んで来ただけで、自分を「旅のベテラン」と思い違いする素人さんもいたんだよ(涙)。

でも僕は、この日本男は潰さなかった。
というのは、彼が連れていたのがブサイクな日本女だったから。

ここで、変に男を潰すと、「ブサイクな女連れにやきもちを焼いている」と思われる。
それがイヤだったからだ。
旅先だと、合わない人間に会ったときは、単にスルーしてしまえばいいだけ。
それが、現実の日常生活と旅が、根本的に違うところなんだよ。
だから、いくら旅をしても、人格が立派になることはない。
旅行者とは、何にも深く考えない、ホントに適当な人間のことなんだから。

旅慣れてしまうと、表面的な人間関係はなんとかやれても、深い関係は作れなくなる。
旅をすればするほど、現実生活から浮き上がるわけだね。

博物館には昼休みがあって、それが午前10時半から午後2時半と書いてあった。
いくら仕事をしないのがモットーの公務員でも、昼間に4時間も休むとは、ひどいよね。

だから国立博物館から追い出されるものと覚悟していたら、実は休みなしにずーっとオープンしていた。
僕がだらだら国立博物館にいたのは、実は、王宮のオープン時間が午後2時半だと考えていたからだ。

まず国立博物館に行って、午後2時半に王宮へ行こうと考えていたわけだ。
博物館を出ようとしたときに、突然土砂降りの雨になった。

インドシナ半島の夏は、原則的には雨季(6月から10月)にすっぽりとはいっている。
だからといって、一日中雨が続くわけでもない。

実際僕がこのあと2002年の夏に、中国、ベトナム、カンボジア、タイと陸路で移動した時も、ほとんど雨にはあわなかった。
ただ、シェムリアップにいたときに雨が降ったことがある。

もし旅行期間が短くて、アンコール遺跡群を見るのが1日か2日しかないという状況だと、確かに雨にぶつかったら大変だろうね。
でもそれはそれで趣があると思えば、感動的ではないかな。

遺跡というものと旅行者の出会いの仕方は、それぞれ違うものだから。
また、違うからこそ意味があるんだ。

1994年8月28日は、朝の時間は晴れていた。
午後2時ごろになって僕が国立博物館を出ようとしたとき、突然、風呂桶の底を抜いたような大雨になる。

これは、とてもとても外を歩けるような状況ではない。
国立博物館の建物を巡るテラスに座り込んで、雨をじーっと見ていた。

このとき、結構キモチよかった。
1人静かに、雨の臭いをかぎ、雨の音をきき、雨を見て、雨を感じていたのだから。

雨がちょっと小降りになったのを見計らって、すぐ近くの王宮へと移動した。
自転車は切符売り場のところへ置いた。

王宮とその南にあるシルバーパゴダが、それぞれ入場料2ドル。
まとめると割引になって3ドルだった。

王の玉座や寝室を見る。
またシルバーパゴダへ入ったところで、また大雨が降りだした。

雨が小降りになるまで待って、思い切って外へ飛び出す。
1994年だと、まだ道路の排水設備が機能していなかったせいか、道はほとんど冠水していた。

自転車で泥水の中に突っ込んだり、ちょっと深い水の中を自転車を押したりする。
やっとキャピタルホテルへ戻ると、全身ずぶ濡れになっていた。

自転車を返却して、部屋でジーンズやTシャツを洗う。
シャワーを浴びて、足をきれいに洗い、気になる部分には抗生物質入りの傷薬の軟膏を塗った。

さっぱりして、キャピタルレストランへ降りて、情報ノートに3ページばかり書いた。
エビチリをつまみにビールを3本飲んで、仕上げに、僕のお気に入りの「Beef Yellow Noodle」を食べる。

部屋にビールを1本持ち込んで、日記を付けながらさらに飲む。
こういう風に酔っ払うと、変に夜中に目が覚めてしまうものだ。

午前2時に起き出して、トイレに行って、また寝た。
すでに、8月29日だ。

今日は、ベトナムのサイゴンへと飛ぶ日です。
ベトナム反戦運動の時代に大学生活を送った(といっても重量挙げをしていただけだが)世界旅行者先生としては、ちょっと緊張する日かもしれないね。

【旅行哲学】雨季に旅するなら、雨を楽しむことが必要だ。
http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20080425
http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20080426