統一会堂(Reunification Palace)でベトナム戦争を想い、戦争犯罪博物館(Exhibition House of Aggression War Crimes)を見る
アジア特電 1937~1985―過激なる極東 / ロベール ギラン
サイゴンホテルの116号室にチェックインして、レストラン#13で昼食を取ったあと、僕は「統一会堂」へと歩いた。
統一会堂(The Unification Palace/The Reunification Palace)とは、南ベトナムが存在したころの「大統領官邸」のことだ。

今の若い人は、おそらくベトナム戦争自体を知らないと思う。
ベトナム旅行をする人も、ベトナム雑貨やベトナム料理やエステが目的だ。

昔、ベトナム戦争というものがあって、そこで米国と北ベトナムが戦ったなんて言ったら、信じてもらえないかも。
しかし、団塊の世代の世界旅行者にとっては、なにしろベトナム反戦運動が盛んな時代に青春時代を送っている。

僕が高校時代に読みふけっていた本が、確かロベール・ギラン著の「ディエンビエンフー陥落」という本だった。
ちなみにディエンビエンフーで戦ったのは、フランス軍とベトミンだけどね。

いまアマゾンで調べてみると、この著者名では「ディエンビエンフー陥落」は見つからなかった。
ひょっとしたら間違っているかもしれない。

ただ、僕の頭の中にすんなりと著者名が浮かんだということは、以前はそういう本が存在したのだと思うよ。
同じくロベール・ギランの本があるので、興味があったら読んでください。
ベトナム戦争関連の映画も、たくさんあるよ。
プラトーンは、僕が離婚する前に日本で見たんだった。

「プラトーン/Platoon(1986)」
フルメタルジャケットは、最初にナイロビに滞在した時ナイロビシネマで見たんだったよなー。

「フルメタルジャケット/Full Metal Jacket(1987)」
それ以前に、もちろん「地獄の黙示録」があるよ。

「地獄の黙示録/Apocalypse Now(1979)」
僕は地獄の黙示録をビデオに録って、それを繰り返し繰り返し見ていた。
それから、NHKで放送されたドキュメンタリーの「ベトナム戦争」があった。

7部か8部くらいにわかれていて、非常に詳細なベトナム戦争の記録映画だった。
これを僕は、繰り返し繰り返し見ていたんだよなー。

だから、有名な「1975年4月30日、大統領官邸へ突入する北ベトナム軍戦車」の映像は何度も見て記憶に残っている。
その大統領官邸が、ベトナム統一後に「統一会堂」と名前を変えた。

その想い出の場所へ行くのだから、かなり心の中では盛り上がる。
統一会堂はドンコイ通りから歩いてすぐだ。

サイゴン大教会のほうから統一会堂の正門、つまり戦車が突入した方向から入る。
1994年では入場料が4ドル。

英語のガイドが付いて、ツアーで内部を見て回った。
各階と地下にそれぞれ別のガイドがいて、詳細な説明をしてくれる。

特に興味深かったのが、地下の通信設備だった。
南ベトナム政府関係者、米軍協力者は米国へ脱出した(行けない人もいた)。

1975年に南ベトナムが解放されたあと、南ベトナムの生活がよくなったかというと、それは違う。
開放20年もたった1994年でも、サイゴンの町にはまだまだ活気がなかったからね。

統一会堂を出たときは、いろんな考えが浮かんできて、その重さにぐったりしてしまった。
しかしとにかく、サイゴンを見て回れるのは今日しかないわけだ。

続いて、「侵略戦争犯罪博物館(Exhibition House of Aggression War Crimes)」へ歩いていく。
ところでこの博物館の英語名は、1994年には「Exhibition House of Aggression War Crimes」となっていた。

そのまま日本語にすると「侵略戦争犯罪展示場」だね。
これがそのあと「Museum of American War Crimes」つまり「米国戦争犯罪博物館」となった。

手許の「Lonely Planet South-East Asia on a Shoestring(11th/2001)」を読んだら、アメリカとの関係改善によって、さらに「War Remnants Museum(戦争遺物博物館)」となったそうだ。

それならば、現在(2008年)は、ひょっとして「American Friendship Museum(米国友好博物館)」となっているかもしれないね(笑)。
この博物館には、ベトナム戦争のときの武器なんかも展示してあったが、そのころ有名だったのが「ホルマリン漬けの奇形胎児」だったね。

僕はこういう残酷な展示物は見たくないのだが、やはり見ないわけには行かない。
というのはやはり、世界旅行者とはいっても、結局は単なる「サイゴンへ来た観光客」なわけだからね。

ベトナム戦争について、見るものはもうこれで十分。
次は、なぜか観光名所らしい「ベンタイン市場」へ向かいます。

だって、なにかお土産を買いたかったからね。
この時期はまだ、珍しいところへ行ったらお土産を買うことにしてたのね。

1994年だと、「ベトナムへ行ってきた」だけで、ちょっと自慢できたし。
でもベトナム自体は見るところもないわけで、1994年に行ってても、2008年になると自慢は出来ない。

しかし「1994年にアンコールワットを見た」というのは、十分自慢できるんだ。
なにしろ、観光客がほとんどいなかったんだから(笑)。

【旅行哲学】戦争の残虐さを示す展示をいくら見たところで、戦争は止められない。
http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20080504