7クラスの部屋のあるサイゴンホテルの一番安い部屋にチェックインして、バンカンホテルからシクロでバックパックを持ってくる

【サイゴンホテルの向かいにある「どらえもん」(2002)】
僕はプノンペンから飛んできたその日に「バンカンホテル」に入った。
バンカンホテルの246号室に8ドルで泊まっているわけだ。

バンカンホテルというのは、ベンタイン市場の向かいにある。
ところで、ベンタイン市場というのは、サイゴンのメインストリート「ドンコイ通り」から中途半端に遠いんだよ。

今朝も、ホテルの前からシクロに乗ってベトナム航空のオフィスまで移動したんだから。
今日一日しかいないのならば、サイゴン位置の繁華街ドンコイ通りのホテルの方が便利だ。

それと、サイゴンに2泊するとして、同じホテルに泊まる意味があるだろうか?
違ったホテルに泊まった方が、楽しいんじゃないかな。

旅の本質とは、日常生活とは違ったベッドに寝ることだよ。
新しいベッドに寝るのは興味深い経験だ。

それならば、2泊続けて同じベッドに寝たら、つまらないよ。
旅をしていると思いがけなくステキなホテルに出くわすこともある。

例えば、ルーマニアはシギショアラの「HOTEL STEAUA」のようなところ。
シギショアラの町もステキだったが、いかにも伝統のある古いホテルが2千円だった。

これはゼッタイに逃せないので、僕はドラキュラ城(ブラン城)へ行く時も、わざわざこのホテルから日帰りしたくらいだ。
またもちろん、気に入ったホテルがあることで、ある町に長期滞在する場合も多い。

ロサンジェルスの伝説の宿「ホテル加宝」なんかはその典型だった。
僕が1988年12月31日にホテル加宝に入って、1989年3月6日まで、2か月以上もずるずると泊まってたのは、部屋が広くて、昼間1人でいるのがとても気持ちよかったからだ。

何しろそれまで1年3か月ほど、続けて旅をしていたので、移動するのに疲れてたせいもあるけどね。
だから、中南米をぐるりと一周して来たあとも、またずるずるとホテル加宝に滞在した。

それから、太平洋をアイランドホップをしてニュージーランド、オーストラリアを経由して、アジアへ入ったんだった。
日本に戻ってきたら、バブルの真っ最中で、新橋の養老の滝までオシャレに変化していた。

それに耐えられず、またロサンジェルスへ逃げ出して、半年ばかりいたんだ。
これは、ホテル加宝がなければ絶対にありえなかったこと。

だから、旅先で出会うホテルというのは、とても大切なんだね。
ホテルの話をしだすと、本が一冊書けてしまう。

もったいないので、この辺で止めておきます。
いま泊まっている「バンカンホテル」は、それほど愛着の湧くホテルではない。

朝食がボッタクリだしね。
ホテルを移動するとしたら、サイゴンへ着いた日にチェックした「サイゴンホテル」が気になる。

サイゴンホテルにはなんと7クラスの部屋があった。
部屋代が22ドルから69ドルという。

とにかくどういうシステムなのか、それを知ることも、世界旅行者としては必要だよね。
そこで、部屋と料金のリストをノートに書き写してみた。
TARIFF($) / SAIGON HOTEL(1994)
ROOM TYPE SINGLE DOUBLE
SUITE 69 79
DELUXE 59 69
DELUXE A 49 59
DELUXE B 39 49
FIRST CLASS 36 44
SECOND CLASS 31 39
THIRD CLASS 22 26
SERVICE BREAKFAST INCLUDED 6:00-9:00 ON THE GROUND FLOOR RESTAURANT
一つの中級ホテルで、これだけ部屋の種類があるとは、世界中のホテルに泊まってきた世界旅行者も、正直、驚いた。
びっくりして、興味を持ったから、わざわざメモっておいたわけなんだけどね。
でもだよ、例えば、「DELUXE」とDELUXE B」には20ドルも差があるが、初めての人がその違いがわかるかな。
いくらでも吹っかけることは出来るのでは?
まあ世界旅行者みどりのくつした(みどくつさん/みど先生)は、常に騙される危険性を考えているんだ。
騙されないためにはどうすればいいか?

結論は簡単で、一番安いサードクラスのシングルルーム(22ドル)を取れば、ゼッタイに騙されることはないわけだよ。
もちろん、たかが一泊のために何十ドルも払うほうがおかしいわけだしね。

僕は一番安いサードクラスの部屋を見せてもらい、サイゴンホテルの116号室にチェックインした。
ベトナムは旧フランス領なので、116号室はヨーロッパ式に2階になる。

これでも壁は厚くて、エアコン、シーリングファン、シャワーとトイレ、洗面所付き。
清潔なベッドにはベッドランプがあって、本を読むのにちょうどいい。

窓からの景色はよくなかったが、僕は別に景色を楽しもうというわけではない。
このホテルの場所はドンコイ通りからちょっと入ったところで、なにをするにも便利なんだ。

ホテルを決めたら、いま泊まっているホテルをチェックアウトしなければならない。
シクロに乗って「バンカンホテル!」と言う。

しかしシクロは川を渡って、中国人街へ入り、別のホテルへ行った。
わざと間違えて、チップをもらおうとしているのかどうか、それがわからない。

朝にシクロに乗ったときも、僕が言ったのとは違ったホテルへつけたからね。
でも日本人だと、出来るだけいいほうに考えて、別のホテルへ行った分も払ってあげようかしら、と考えるものだよ。

結局、バンカンホテルへ付いたときは、シクロの運ちゃんにチップコミで1ドル払ってしまった。
バンカンホテルに入っていくと、昼間からダンスホールがやかましかった。

246号室からバックパックを取り出し、チェックアウトする。
ハッキリくんとは、ここでお別れだが、別にサヨナラのメモも残さなかった。

旅人は、出会い、別れる。
それだけではなくて、また思いがけないところで再会するものだ。

もし神がそう定めているならばね(笑)。
そう定めていないならば、これきりで、また会うことはないだろうさ。

バックパックを持って、ホテルの前のシクロに乗る。
このとき、「中途半端な値段で交渉すると、ゼッタイまた違うホテルに行くだろうなー!」と思った。

だから、「サイゴンホテル、ワンダラー!」と言う。
今度のシクロの運転手は若いやつで、脚に力があった。

ずんずん進んで、そのまま「サイゴンホテル」へ乗り付ける。
とはいっても、バンカンホテルとサイゴンホテルの位置関係は単純明快だ。

僕の表情にも、シクロに乗リ慣れた自信があったんじゃないかな(笑)。
サイゴンホテルの116号室にバックパックを置く。

無事にホテルを移動してホッとしたが、まだ昼食の時間。
昨日なじみになった「レストラン#13」へ行って、ヌードルスープとビーフ焼き飯を食べる。

その時に「333」というビールの缶と、ボトルの「サイゴンビール」を飲んだ。
おっとっと、昨日のように昼寝をしたいが、それはダメ。

今日はとにかく「統一会堂」と「戦争犯罪博物館」は見に行くのだから。
ベトナム戦争の記憶をよみがえらせれば、それでいいのだし。

【旅行哲学】つまらないホテルに連泊せず、新しいホテルへ移動した方がいい。
http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20080503