『世の中なにが起きるかわからない、だから世の中だが、何とかなるのも世の中だ』
(この旅行記は、2002年の話で、料金やビザ状況も現在とは違っていることに注意ください)

僕が海外旅行に出るときは、できるだけぎりぎりまで出発の日を決めないようにする。
というのは、世の中何が起きるかわからないからね。
有名雑誌からコラム連載の申し込みもあるかもしれないし、テレビ出演の話があるかもわからない。
そうなれば、もちろん旅なんかには出ないよ、僕は(笑)。
新鑑真号は毎週火曜日に出発だが、7月中は席があると聞いていたので、ずるずると延ばしていた。
が、インタビューの話も、コラム連載の話も一向に来ない。
日本のマスコミは、レベルが低いね!
でもまあ、話が来ないなら、これは諦めた方がいい。
僕の人生は、諦めだらけなので、あっさりと諦める。
新鑑真号は毎週火曜日出発なので、ハッと、これではいけない、旅に出なければと、出発前の週の土曜日に近くのJTBで申し込んだ。
7月16日出発、二等洋室で2万円、出発は神戸のポートターミナル。
ちなみに、新鑑真号は、一週おきに、神戸と大阪から出港するので、出発場所を間違えないようにしなければならない。
でも、これだけ大きな船なのだから、たぶん毎回数人は出発場所を間違えて乗りそこなうんじゃないかな(笑)。
新鑑真号は二泊三日の船旅で、料金はたったの2万円、しかも朝食つきだ。
しかし、東京にいる僕はもちろん関西まで行かなければならない。
新幹線なら、のぞみで15450円、ひかりで14450円かかるので、二泊三日の船の運賃が2万円なのに比べて、ちょっと高いね。
しかしもちろん、東京から大阪まで高速バスで移動することもできるわけだ。
夜行のバスだと、安いものでたったの5000円。
若者ならば、当然夜行バスで関西へ行き、船に乗るのが定番だ。
だって、船に乗りさえすれば、そこにはベッドがあって、ゆっくりできるんだからね。
でも世界旅行者は、歳なので、そんな疲れることはしない。
でも、朝に東京を出て、7時間半かけて夕方に大阪へ着く昼間の高速バスもあって、その料金が6000円。
これだと、関西に宿泊しなければならないが、関西のホテルをインターネットで調べると、さすがに東京より安い。
月曜日の昼間に高速バスに乗り、夕方に関西へ着いて夜ホテルに泊まり、翌朝船に乗るのがいいかもしれない。
というのは、昔、世界旅行者が京都大学に通ってたとき、東名高速を走る夜間の高速バスを使って東京へ行ったことがあるからだ。
世界旅行者というのは、とにかく何でも、新しいこと珍しいことを経験したいと思っている
一度くらいは昼間の東名高速をバスでダラーンと乗ってみることも面白い、と考え始める。
そうすると、月曜日の夜が暇なので、関西地区にいる世界旅行者ファンの女の子と、一晩を過ごすこともできるだろう。
そう考えたが、こういう風に一つの行動に、ついでにあれもこれも放り込もうというのは、これは血液型A型の特徴らしい。
A型は、いろいろ考えるのだが、考えすぎて神経症になるのだとか。
確かに僕の友人のY嬢は、時々僕に会いたいと電話してくる。
それはどうしても僕と会いたいというのではない。
必ずなにか別の用事があって、そのついでに僕と会うように計画を立てているようだ。
彼女はあまりに計画を立てすぎて、それがことごとく計画通りにいかないので、とうとう神経を病んしまって、いま病院に通っている。
僕も、せっかく関西に行くのだから、関西のファンに会ってすっきりしてもいい??
その翌日、上海へ旅立とうかと、ファンの女の子に、「関西に行くから会おうよ」とe-mailを書いただけで、そのあと連絡を取っていなかった。
だって、自分がいつ関西へ行くのか、わからなかったからね。
僕が旅行計画を立てないのは、計画を立てたら神経がおかしくなるからではなくて、ただ基本的にぐーたらなせいだけどさ(てへへっ)。
土曜に予約を済ませ、日曜日に関西へ行く方法を考えていると、台風7号がちょうど関西を直撃しそうなコースでやってきているのに気がついた。
フェリー会社に問い合わせすると、「台風でも何でも、必ず出港します!」という、さわやかでキッパリした返事だ。
月曜日も天気予報をチェックしたが、台風はまっすぐにやってきている。
船は無理にでも出港するようだが、そのときの台風の波による船の揺れは、ものすごいだろう。
つまり、二泊三日、ゲロゲロゲロっと吐き通しだ。
これはちょっとキモチヨクないね。
というわけで、出港前日の月曜日に、新鑑真号に乗るのを一週間延ばした。
すると、本来ならば、規則では乗船日の変更は500円手数料がかかるのだが、台風という特別の事情を考えて、無料で変更してくれた。
ありがとう、「日中国際フェリー株式会社」さま!
これは、ただ500円儲かったというだけではない。
神が7月23日の船に乗れと世界旅行者に指し示しているのだ。
神が変更手数料の500円をまけてくれたのだから、世界旅行者は船に乗って上海へ行くのが運命なのだろう。
しかも、一週間、出発を遅らせたので、まだなにかできることがあるぞ。
きっと神は、世界旅行者に一週間を与えて、なにかをさせようとしているのだ。
それはなんだろう?
今度の旅をもう一度考えてみよう。
もともと上海へ船で行くというのが目的だ。
しかし、僕の本「大人の海外個人旅行」の、第三章「世界各地の旅行ルートについて」のアジアのところで、「雲南省からはラオスやベトナムへ抜けるルートが人気」と書いてある。
ただ、僕自身はこのルートを通ったことがない。
そこで、雲南省からベトナムへの国境越えをしてみてもいいと考えて、ベトナムのビザをゲットしたわけだ。
ところが、雲南省からベトナムルートの紹介の直前には、「ラサからはネパールのカトマンズへ抜けるルート(が人気)」と自分で書いている。
僕の本の特徴は、すべて自分自身で実際に体験したことがずらりと並んでいるところ。
ただ、この部分だけは自分の体験ではない。
とすると、「雲南省からベトナム」に加えて「カトマンズからラサ」のルートも通らなければならないのかな?
すると、ひょっとして、中国へ船で渡ったあと、バンコクまでずるずると陸路で行き、バンコクからインドへ行き、インドからネパール、そしてカトマンズからラサへ入って、中国本土から(または韓国経由で)船で日本に戻ってくるという旅も考えられないわけではない。
となると、インドのビザも持っておいたほうがいいかもしれないよね。
インドビザは僕の本「これが正しい海外個人旅行」で「発効日から6ヶ月有効で、その有効期間内だけインドに滞在できる」というちょっと変わったビザだ」と紹介してある。
インドへ行ったのはもう20年くらい前だし、いまどきまたインドへ行ってもつまらない。
しかし、現在インドを旅している日本人のインド旅行者に会うのは、結構面白いかもね。
20年ほど前のインドも、覚悟して旅に出たら、女子大生がいやに多くて、「なーんだ、インドって、メチャ普通じゃん♪」と、思ったものだ。
いまだとどうなのだろう?
インド旅行の女性は、トルコやバリ島と同じく、インド人とセックスしているのだろうか?
インドへ行ってみてもいいな。
インターネットでインド大使館を調べてみると、ビザの料金は5500円と書いてあるが、インド大使館の英語のサイトを読むと、そこには1200円とある。
うーん、不思議だ。
ビザの値段はいくらなのだろう?
英語のページと日本語のページでビザの料金が違っているのは、普通はありえないことだ。
その理由は、神が「世界旅行者よ、インドビザの謎を解きなさい。ついでにインドビザを取りなさい」と言ってるわけだね。
ということで、インド大使館へ行ってビザを申請すると、翌々日に発給されて、料金は1200円。
やはり、発行日から6ヶ月有効で、その期間内にインドに何回も出入りできるマルチビザだ。
これは、申請書に何と書いても、この6ヶ月有効マルチビザが発給されるので取得のテクニックはない。
あとは出発を待つだけだが、その直前に二つの出来事が起きた。
一つは電子メールで、某雑誌から取材協力の依頼が来たことだ。
もう一つは、超美人から「セックスしない?」と、誘いがきたことだった。
取材に答えて、セックスしていたら、中国への旅には出れなくなるよ。
世界旅行者は、この重大問題に、どう立ち向かったのか?
それは…、次回のお楽しみ。
注意:インドビザについてはそのあといろいろと変更がありました。これは2002年の話ですから、情報はすべて自分で再確認ください。
(「世界旅行者・海外説教旅」010)