《「大人の海外個人旅行」とは日本社会を揺るがす哲学と革命の書だった!》

さて、この頭のよさそうな、世界旅行者の大ファンの若者、彼の名前を仮に、緑靴好男(みどくつすきお)として話を進めよう。
彼は「間違いだらけの海外個人旅行」「これが正しい海外個人旅行」を読んで感動したという。
それならなぜ、最新版の「大人の海外個人旅行」を読んでいないのだろう??
それを聞いてみると、「大人の海外個人旅行」が出版されたことを知らないというのだ!
そうか、僕のファンは、「大人の海外個人旅行」の存在を知らないのだ。
本が出たのを知らないなら、買えないのも仕方がない。
ところでなぜ、本が出たのを知らないかというと、マスコミで大きく取り上げられなかったせいなんだよ。
しかし、「間違いだらけの海外個人旅行」のときにも、「これが正しい海外個人旅行」のときにも、週刊朝日や、VOCE、など一般週刊誌、女性誌で取り上げられた。
それでは、なぜ「大人の海外個人旅行」の場合も、タブロイド版の夕刊紙「夕刊フジ」と「日刊ゲンダイ」の書評欄でメディアで紹介はされた。
なぜもっと大きく取り上げられなかったかというとだね、そこには深い深い理由がある。
実は、「大人の海外個人旅行」は、普通の海外旅行本じゃないんだよ。
一見普通の海外旅行本のような体裁を取っていて、その内容は、哲学書なんだ。
「大人の海外個人旅行」の帯には、「人生をリフレッシュ!中高年のための初めての個人旅行書」と、書いてある。
しかし、正直な話、普通の中高年が「大人の海外個人旅行」を「人生をリフレッシュ」するつもりで読んだら、大変なことになる。
「大人の海外個人旅行」で言っているのは、「日本社会は間違っている」「日本の人生はつまらない」「日本人は個性もないし、能力もない」ということなんだよ。
しかも、「海外旅行なんかに行っても何の役にも立たない!」と決め付けてあるんだ(笑)。
まじめにコツコツと働いてきて、出世にも見放された疲れ果てた中年サラリーマンが、「そうだ海外個人旅行に出よう!」と思う。
そして、「大人の海外個人旅行」を読む。
すると、そこには、「日本社会は間違っていて、そこでやっていける人間は無能で個性がない、そんな人間が海外旅行に出ても、楽しいことはないし、何の役にも立たないのでやめたほうがいい」というメッセージを発見するわけだよ。
「大人の海外個人旅行」を読んで、普通の中高年の人が、元気が出るとは、著者の僕には、とても思えない。
ただ、自分の人生に対して疑問を抱いて生きてきた、知的な人にはピッタリ受け入れられる。
そういう人にしたって、「日本人の生き方は間違っている」なんて、さらにダメ押しされたくはないだろう。
中高年の日本人が読んでも不愉快になる本なのだが、若者が読むと、もっとイヤな気持ちになる。
「大人の海外個人旅行」には、「海外でセックスしても、海外留学しても、海外ボランティアしても、ワーホリに行っても意味がなく、若者の海外旅行そのものが何の役にも立たない。まじめにコツコツと働いてなさい!」というメッセージがこめられているのだ。
海外旅行に夢を持った若者が、「大人の海外個人旅行」を読んだら、イヤーな気持ちになるだろうね(涙)。
さらには、日本のマスコミそのものに対しても、「日本のマスコミ情報に触れない方が知的に向上する」とズバリ批判している。
マスコミにしたって、「大人の海外個人旅行」が売れては困るわけだよ。
もちろん、僕のスタンスは、海外旅行の幻想(ウソ)を売って生活してきた日本の旅行ジャーナリズムを馬鹿にしている。
旅行ジャーナリズムは、僕の本に触れないようにするのは当然。
というわけで、「大人の海外個人旅行」は、現代日本に存在しているだけで、それは、爆弾のような効果を持つわけだ。
旅行本としてではなく、現代日本社会批判の書として読めば、海外旅行の豊富な実例を挙げて話を進めているので、とても読みい。
中には笑い話もたくさんあり、新しい刺激が得られる、とてもオトクな本だけどね。
イギリス風の自分自身を笑うユーモアと、フランス風の人生のはかなさを笑うペーソス、それから、世界どこでも通用するブラックユーモアと、日本人に大うけするシモネタまで放り込んである。
頭がよくて精神的な余裕がある人ならば、「大人の海外個人旅行」ほど笑える本はないんだけど、そこまでの日本人は、ほとんどいないだろうね。
ただ普通の日本人が読んだら、「大人の海外個人旅行」は、手に負えない。
「大人の海外個人旅行」を読んでみて、素直に共感できたら、その読者の知的レベルは、かなりのものだと自負していいと思うよ。
「大人の海外個人旅行」は、売り出してすぐにはブレイクしなかった。
しかしもちろん内容的には素晴らしいので、売切れれば、もうすぐ伝説の本となることだろうさ。
新本は売り切れてるけれど、アマゾンの古本では、入手できるようだ。
興味のある人は、急いで購入しておいた方がいいでしょう。
そこで僕は、なぜか一冊だけ手許にあった「大人の海外個人旅行」を取り出して、テーブルの上に置いた。
「これが僕の新しい本だよ」と言った。
すると、ひとりのかわいい感じの女の子が「わーい、世界旅行者さんは、チベットへ行かれたんですか?」と、目をきらきらさせながら、聞いてくる。
おやおや、なぜ、「大人の海外個人旅行」の表紙を見ただけで中身も読んでないのに、この女の子は僕がチベットに行ったとわかったのだろう?
それは次回のお楽しみ。
(「世界旅行者・海外説教旅」024)