《雲南省昆明「昆湖飯店」》

2003年7月28日午前8時35分、K79次列車は、ついに、昆明駅に到着した。
僕が上海を出発したのが26日の昼、定刻通りの12時42分だった。
計算すると、43時間53分かかったわけだ。
時刻表によると昆明到着が午前8時28分なので、これもほとんど定刻到着と言ってもいいだろう。
中国の鉄道も、なかなかやるじゃないか、ねー。
上海から昆明までの距離が1596kmだから、平均速度は約36km/時程度ということになるけどね。
ホームから階段を下りて地下道に入り、人の流れのままに動くと、改札口で駅員から一度切符を取られる。
でも切符を手でちょっと破って返してくれた。
記念になって、ちょっとうれしい♪
地下道からちょっと上りになって、そこを出て空を仰ぐと、どんよりした雨模様の曇り空だ。
あとで調べたら、雲南省の夏は雨季なので、これは普通のことのようだよ。
僕は昆明駅の正面に向かって左側から地下道を出たらしく、僕の左手に駅舎、右手には駅前広場が見える。
この広場はマイクロバスでぎっしりだ。
バスにはそれぞれ行き先が書いてあるので、ここはバスターミナルになっているようだね。
「Lonely Planet」を取り出して、昆明の町の地図をチェックする。
昆明駅からは「北京路(Beijing Lu)」という大通りがまっすぐ一直線に伸びている。
さてここで考えることは、今夜の宿を見つけることだ。
しかし、何度でも言うが、個人旅行者の集まる宿は決まっているので、その中から選べばいいだ。
予約をせずに、自分でホテルを見つけているからといって、たいして難しいことをしているわけじゃないんだよ。
そしてそのホテルは、「Lonely Planet」を見ればはっきりと書いてある。
「Lonely Planet」がいいのは、結局、ある町の地図がわかりやすく正確であることと、バックパッカー向けのホテルを紹介してあるからだ。
日本のガイドブックになると、ツアーで宿泊するホテルからバックパッカー宿まで、全部紹介してあるので、わかりにくいんだ。
日本人はたいていはパックツアーで旅をするか、自分で手配しても高級なホテルに泊まってるってことなんだけどね。
もう一つには、ガイドブックが読者を絞り込めてないってこともあるだろうね。
僕がガイドブックを作るなら、「バックパッカー向け」の情報は、わかりやすい形できちんと入れておくけどさ。
ガイドブックを作っているのが編集プロダクションで本物の旅行者ではないから、バックパッカーの旅について、本当は何も知らないんだと思うよ。
バックパッカーは英文ガイドブック「Lonely Planet」を使う。
そのKunming(昆明)の「Places to Stay - budget(安宿)」のところで、最初に紹介してあるのが「Camellia Hotel(茶花賓館)」、次が「Kunhu Hotel(昆湖飯店)」。
ということは、昆明に来るバックパッカーは、このどちらかに泊まるのが普通なんだよ。
どちらに泊まるかというと、迷うことはなくて、最初に書いてあるところが一番のオススメ。
ここは何も考えず、迷うことなく、茶花賓館に泊まればいいはずだ。
ただ、行き方を調べると、どうやら駅前から市バスに乗って、しかもバスを乗り換えなければならないようだ。
これは面倒だね。
初めての町で、まったく土地勘がないのに、市バスに乗って、さらに乗り換えるのは大変だ。
ここは中国なので、英語が通じない。
つーことは、駅からもっと近い、北京路に面したわかりやすい昆湖飯店に泊まればいいだけなんだ。
こういう風に、何にもとらわれないことが大切だ。
昆湖飯店も中途半端に遠かった。
だが、最初の町ではとにかく歩くのが基本なので、昆湖飯店まで歩いていく。
バックパックを背負って歩いていると、中国人の若者から声をかけられ、航空券の料金表を渡された。
さらに、「昆湖飯店へ行くならもう少しだ」と、別の若者から英語で話しかけられる。
ということは、昆明も最近は外国人観光客が多くなっているんだろうね。
昆湖飯店は、なかなか立派な建物だ。
というか、中国では外国人旅行者が泊まれるホテルは、外観は結構きれいなんだよ。
それで騙されて期待すると、中は外観に比べてちょっとがっかりってことはよくあるんだけどね。
昆湖飯店のレセプションに行くと、英語は話さないが、英語で書いてある部屋の料金表を見せてくれた。
一番安い4人部屋のドミが25元だそうで、やはり上海に比べると安い。
上海の浦江飯店でドミに55元で泊まり、その後の二日は列車の中で寝ていたのだから、ドミのようなものだよ。
ということは、今度はドミで通しても、話のネタになるかな?と、お茶目な気持ちがちょっと起きる。
ドミの部屋を見せてもらうと、特に不潔でもなく、悪くはない。
ただ、トイレがダメだった。
ホテルなのに、ドミの客が使うトイレは中国式、つまり大便器のまわりの壁が低い。
つまり、ウンコをしているのがみんなに見えてしまうんだよ!
浦江飯店はもともときちんとしたホテルなので、ホテルのトイレは西洋式だった。
また、長距離列車K79次も、もちろんトイレは個室なんだ。
同じ部屋にベッドが並んでいるドミは、もちろん、僕も日本国内のYHなどへの宿泊で慣れている。
ただ、トイレをしているのが他の人から見られるのは、あんまり好きじゃないんだよね…、僕は。
ただ、最近はいろんな趣味の人がいるので、読者の中には自分がウンコをしている恥ずかしい姿を、他人に見られるのが好きな人がいるかもしれないよね。
そういう人は、なるべく早く中国旅行に行ったほうがいいでしょう。
こういうオープントイレ(と名づけておきますが)は、中国でもだんだん減ってきているからね。
ねー、僕の旅行記は、旅行好きの人にももちろん役に立つんだけどね、ちょっと変態気味の人が読んでも役に立つでしょ。
僕は、誰も気にせずにゆっくりとトイレを使えるように、シングルルームを取ることにした。
中国では、普通はベッドが一つだけのシングルルームというのは存在せず、ほとんどはダブルルーム(ベッドが二つあるいわゆるツインルームです)だ。
1人で泊まっても2人で泊まっても同料金というのが基本だ。
そういう意味では、中国旅行中に異性を見つけたときに、「二人で泊まっても同じ料金だから」と声をかけて、一緒の部屋に泊まるのに便利だね。
このように、僕の旅行記は、旅行好きの人にも役に立つし、セックス好きの人のナンパにも役に立つ、すごいものなんだよね。
ただ、この状況も少し変化してきているようだ。
昆湖飯店の料金表には、トイレつきのダブルの料金と、そのシングルユース(ダブルの部屋を1人で使うこと)料金が別々に書いてあった。
しかも、そのシングル料金がかなり魅力的だったんだよ(しかしもったいないので、ここではその料金は公表しません)。
一応部屋を見せてもらうと、それは昆湖飯店とは別棟の新館の2610号室。
本館を5階まで登ると、そこに新館への通路がある。
このとき、ホテルのエレベーターが修理中で使えなかったので、なんと実質7階まで、階段を歩かなければならなかったんだ。
荷物を背負って階段を登ったので、部屋にたどりついたときは、またレセプションまで降りて他の部屋に替えてもらうように交渉する気力も体力もなくなっていた。
それと、このホテルでは誰も英語を話さないので、言葉が通じず、もともと交渉できないというもある。
中国人ならば、他の部屋があっても、部屋を替えるのが面倒で、ここしかない!と言うだろうと、予想したってこともあるんだ。
部屋は、ベッドが二つあり、バスタブつきのトイレ、洗面台もあるごく一般的なシティホテルの構造だ。
中国では、必ず部屋に、熱いお湯の入ったポットが用意されているのが、世界中のほかの国のホテルとを差別化する大きな特徴だ。
今度も僕が部屋に入るとすぐに、ホテルの女性が、大きなポットを持ってきてくれた。
さーて、無事に上海から昆明への二泊三日の列車に乗り通し、昆明に到着した。
まだ朝の間にホテルの部屋を確保した。
これから、昆明の町がどんなところか、見てまわろうっと。
次に行くつもりの大理という町への交通手段を調べるなきゃね。
ベトナムへ下るとしたら、昆明からベトナムへの交通も調べておきたい。
でもそんなことは、大理駅と、駅からホテルへ歩く途中でチラッと見た、長距離バスターミナルへ行けばたいていはわかるだろう。
と僕は、ちょっと小雨の降る大理の町へ、飛び出していきましたとさ。
http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20081029#p2
(「世界旅行者・海外説教旅」036)