《雲南省・大理「紅山茶賓館(Red Camellia Hotel)」》
7月29日、朝4時半に目が覚める。
昨夜の残りのチキンと中国ワイン「雲南紅2001(750ml、12%、39元)」の残りを朝食にする。
ツインの部屋なので、一つのベッドを寝るために使っていた。
もう一つの使っていないベッドのベッドカバーの上にバックパックの中身を広げる。
その種類ごとに整理して、まとめなおして、バックパックに入れる。
これは家をいつものようにバタバタしながら出て、その後は新鑑真号のドミ、浦江飯店のドミ、K79次の寝台車と泊まっていたから。
いままで落ち着いて自分の荷物をチェックする時間がなかったからだ。
昨日長距離バスターミナルへ歩いていた時、かばん屋を見つけて、そこで安っぽいビニール製のバッグを買ってた。
このバッグに、ちょっと大切な物をまとめて入れる。
バッグのファスナーを閉めて、バックパックに入れてみると、バックパックの半分くらいにピタッとはまる。
知ってる人はとっくに知っているが、一般的なバックパックはファスナーを閉じて南京錠をかけても、特に中身が少ない場合は、そのファスナーを横に引っ張ると、簡単に見事にスカッと開いてしまう。
実はちっとも鍵をかけた状態にはなってないんだ。
だから、バックパックに鍵をかけて、それで安全だと思ってバスなんかに預けると中身を抜かれてしまう。
特にタイのバンコクからプーケットなどのビーチリゾートへ行く夜行バスでの被害が最近多いとか。
今日は昼間のバスだし、盗難の恐れはそんなにないのだが、これからベトナムへ下ったときのことを考えているんだ。
バックパックのファスナーを広げられても、その中にもう一つバッグがあれば、簡単には中身を抜かれないだろう。
そう考えて試してみたんだよ。
もちろん本気で盗もうと思えば、バックパックなんて簡単に壊して盗めるさ。
しかし、盗難の痕跡を残さないようにさっと盗むのが常習的な泥棒の基本。
そういう意味では、完全に盗難を防止することは無理だ。
ただ盗むのに手間がかかったり、盗んだ痕が残るのは盗難予防になるものなんだよ。
予約したバスは午前8時の出発だが、7時に受付に降りて、チェックアウトの手続きをする。
それは、このレベルの中国のホテルではチェックアウトのときに、室内の物を盗られてないかどうかメイドさんが調べるので、時間がかかる場合があるからだ。
これが、僕が1999年に北京にいたときに、有名なバックパッカー宿、京華飯店で起きたことなんだよ。
僕は京華飯店飯店でもドミに泊まらず、一人でダブルルームに宿泊していた。
しかし、チェックアウトのときに、ガラスコップと、バスタオルの料金を請求された。
ガラスコップは確かに自分で壊していたので払った。
バスタオルも、確かに一枚なくなってた。
けれど、もちろん僕が持ち逃げしようとしたのではない。
多分部屋係がツインの部屋に僕一人しかいないので、二枚あったバスタオルの一枚を持って行ったからなのだろう。
払うことは当然拒絶した。
すると、部屋係の女の子たち、受付の女の子たち、またその管理の男性責任者を巻き込んだ、大騒動になってしまった。
というのは、僕がホテルのロビーでブチッと来て、まず日本語で「バカヤロー!」と、宿泊者全員に聞こえるような大声で叫んだんだよ。
そればかりか、「僕がタオルを持っているというなら、荷物を開けて見せて、裸になってやるから、もしタオルが出てこなかったらお前が金を払えよ!日本人を扱いやすいと思ったら、大間違いだ。警察を読んで貴様を逮捕させてやるぞ」と、ベラベラベラリンと英語で追求したんだ。
すると、「もういいから帰れ!」とホテルから追い出されてしまった。
これが今でも京華飯店では有名な「世界旅行者の北京バスタオル料金騒動」と言われる事件で、世界中の旅行者の間ですでに伝説になっている。
これ以降、日本人旅行者に対するホテルの態度が少しマシになったそうだよ♪
結果的には、バスタオルの代金を払わなかったから、それはいいんだし、話のネタが出来たので、それ自体としてはいい話だ。
ただ、僕はこの京華飯店が結構居心地がよくて気に入っていて、敷地内のレストランのおばさんとも親しくなっていたので、また泊まれなくなったのはちょっと困るんだよね(もちろん、泊まれないわけはないが、なんとなく気まずいしね)。
この昆湖飯店でも、僕がいた部屋をチェックするだろうと予想していたわけだ。
思ったとおり、電話をかけて部屋を調べさせようとしていた。
その電話がなかなk通じないようで、ちょっと時間がかかった。
ドミで旅行する若者には関係ないけれど、中国旅行ではホテルのチェックアウトの時、こういうことで思いがけなく無駄に時間が取られることもあるので、頭の隅に入れて置いてください。
部屋には、上海駅で買って一つ食べ残しておいた中国製カップヌードルと日本語の文庫本を残しておいた。
これも、テーブルの上において、わざわざ漢字で「不要」と書いた紙片を置いておいたんだ。
このレベルのホテルでは、客の忘れ物はルームメイドが自分のものにすると思うんだが、変に取っておいてもらっても困るからね。
例えば、ちゃんとしたホテルに泊まるときは、雑誌をゴミ箱の横においておいても、処分せずに机の上に戻してあったりするんだ。
捨てていいものなのか、捨ててはいけないものなのか、それをはっきりさせておくことも大切。
それが、すべてのトラブルをすんなり切り抜ける、世界旅行者一流の気配りの一つなんだよ。
最後に、チェックインのときに預けておいたデポジットを返してもらう。
これも、急いでチェックアウトするときなど、デポジットを取り戻すのを忘れてしまうので注意しておいた方がいいよ。
僕の考えでは、このデポジットというのはかなりの確立でホテルスタッフのお小遣いになっていそうな気がする。
7時にチェックアウトしようとしても、なにやかにやで時間がかかり、またバスターミナルまで15分くらい歩く。
そこには、今まさに7時半の大理行きバスが出発しようとしていた。
が、昨日見た大型豪華バスではなくて、韓国製HYNDAIの中型バスだよ。
昨日のVOLVOの豪華バスは見せるだけのもので実際は韓国製の中型バスという新手の詐欺かしら、と不安になる。
せっかくなら豪華バスに乗りたいものだ…。
が、このバスが出発して、8時のバスがやってきたらそれはVOLVOの大型バスだったので、「ツイてるぞっ♪」と気分が盛り上がる。
バックパックを大型バスの下の荷物入れに入れて、自分の席に着く。
乗客が乗り込むと、完全に満員だ。
今朝切符を買おうとしても無理だったり、次のバスになったりしたのかもしれないよね。
やはり、昨日バスを見つけたときに切符を買っておいて、正解ってことだよ。
このように、何でもかんでもいい方にいい方に考えるのが、海外個人旅行のコツであり、また人生のコツなんだよ。
悪い方に悪い方に考えると、気分が滅入っちゃうからね。
しかもバスは、定刻の午前8時に出発した!
僕の座席番号2番は、右側から数えても左側から数えても、通路側の席のはずだった。
が、一番右の窓側の席になって、僕の隣にはかわいいバスガイドさんが荷物を置いた。
バスガイドさんが乗客にミネラルウォーターと記念品を配る。
もちろん座席はリクライニングするし、窓も大きくて非常に快適だ。
車内のテレビで映画まで上映する。
その映画はアメリカ映画の「ブラックホークダウン」だ。
ただ、これは、中国でよく売っているDVDの複製品らしく、画像がかなり乱れた。
(ここに、昆明の携帯電話状況の話を追加するかも)
朝のバスに乗るときに問題なのが、トイレの問題だよね。
海外旅行で一番に問題なのが、トイレのないバスで下痢になることだ。
これほど悲惨なことはない。
この豪華バスにはもちろん中央部にトイレもあるのは確認している。
その上に、バスはちょうど予定時間の半分、2時間半走ったところで、土産物屋のようなところに寄り、トイレ休息がある。
もちろんちゃんとトイレ使用料を取られるが、ほとんどの中国人乗客は(もちろん僕も)トイレに行く。
トイレに行かないのは二人の白人乗客だけだ。
僕の理論「欧米人はトイレに行かなくてもいいような体質である」が、ここでも証明された。
バスは昆明から大理まで完全舗装の高速道路を走り、予定通り、5時間後にはかなり大きなバスターミナルへと到着する。
ここは大理ではなくて下関(Xiaguan)という町だ。
ほとんどのバスは目的地の大理ではなくて下関が終点になっている。
でも、下関行きのバスのことを大理と表示してあるようだ。
バスターミナルの時刻表で麗江(Lijiang)へのバスを確認して、明日の予約を取ろうかと一瞬迷う。
トイレに行かなかった白人二人を見つけて、「一緒に大理へ行こうよ」と声をかける。
いわゆる大理とは、大理古城といって、下関からバスでしばらく走ったところにあるらしい。
下関から大理までは、「Lonely Planet」によると「No.4 local bus」が走っている。
バスターミナルの正面にバス乗り場があって、そこを見ていたら、ちょうどその「4路」と表示のある小型バスが通りかかる。
すんなり乗り込んで、バスの中で料金を支払うと、それが1元2角。
バスは田舎道を走り続けたが、突然道の両側に古い建物の列が出てくる。
ひょっとして大理古城に到着したのかと焦っていると、前方に大きな門が見えたので、一人降りる。
実は、僕がバスを降りたのは、大理古城の南の端、南門のところだった。
後で気がついたのだが、この4番のバスにそのまま乗っていると、博愛路を走り続けて、旅行者の集まる護国路の角までそのまま行く。
この大理古城というのは歩くにはなかなか大きいので、逆に最初から旅行者の集まる地域へ行ってしまったら、南門まで歩くことはなかっただろう。
そういう意味では、南門からずずーっと大理古城のメインストリート復興路を歩いたのは、よかったとも言えるね。
大理古城の中は、見事に昔のままの建物が保存されている。
しかもちゃんとそこに普通の人々の生活があるところがすごい。
バックパックを背負って、きょろきょろしながら、復興路を歩いていくと、ホテルの客引きから次々と声がかかる。
しかしもちろん僕は、自分の目で見なければ、ホテルを決めることはしない。
で、旅行者にとっての一番の繁華街と見当をつけた、復興路と護国路の角に来た。
右前方に目印の郵便局の建物を確認する。
ここを左に曲がると、いかにも観光客を目当てにしたお土産屋やレストランが並んでいる。
欧米人東洋人のバックパッカー風の若者が屋外レストランでビールを飲んでいたりする。
これは、いわゆる世界中どこにでもある、バックパッカーの集積所、溜まり場だね(笑)。
こういうところへ来れば、僕の膨大な世界旅行体験では慣れきったところなので、英語も通じるし、何の問題もないってわけだ。
バックパッカーの集まる地域では、ホテルはとにかくそのど真ん中にあるほうが何かと便利だ。
で、見て歩くと、かなり立派なホテルが護国路の南にあった。
ホテルの前には、車が何台も駐車できる広場になっている。
これが、「紅山茶賓館(Red Camellia Hotel)」だ。
僕は受付へ行き、一部屋を取る。
もちろん部屋を見せてもらうが、このホテルの部屋は、昆湖飯店などよりもずっと大きく、設備も調っていた。
「よし、これで決定!」して、僕はさっそく、護国路の探検に乗り出した。
護国路をずんずん歩きながら、左右を見回し、日本人旅行者をゲットしようと考えている。
その理由は、日本人旅行者に大理の様子を聞けば、手っ取り早く、知りたい情報が簡単に手に入るってこと。
もちろん、今夜の夕食のときに説教する相手を見つけなければならない。
だって、この旅行記は「世界旅行者・海外説教旅」なんだからさ(笑)。
http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20080911
(「世界旅行者・海外説教旅」038)