《サパで、あちこちチェックして宿を決めて、翌日のハノイ行き夜行列車の予約を取る》

【サパの中心の小さな広場を背の高いホテルが取り囲む】
中国国境の町河口から歩いて国境の橋を渡り、ラオカイでベトナムへ入国する。
ラオカイで知り合ったオランダ女性のミミと、日本人男性3人でマイクロバスに乗り、サパへ向かう。

雨季だったせいか単に道が悪かったせいか、途中の崖崩れで、サパへ到着するのに1時間半かかった。
まあその崖崩れのせいで、バスが山道で停まって、サパの棚田の写真が取れて、うれしかったんだけどね。

それからさらに走って、サパに入ったなと感じたのが、道路の横にかなり豪華なホテルが見えたこと。
サパはもともとはフランス人の避暑地だったわけで、高級なホテルもあるみたいだ。

でも、バックパッカーはどこに行くのだろう?
どこがサパの中心なのかわからず、どこで降りたらいいのかちょっと迷う。

そんなときには、最後まで乗っていればいいだけ。
結構賑やかな通りを左へぐるっと曲がって、両側に店の並ぶ下り坂を進む。

行き止まりの小さな広場に出る。
ここでマイクロバスが停まる。

他にも同じようなマイクロバスが停まってる。
ここが最終目的地、サパなんだろう。

車を降りて広場に立って周囲を見回す。
この小さな広場の周囲は、4階建て5階建てのホテルばかりだ。

つまりだよ、ここで今日は泊まればいい。
「Lonely Planet」に書いてあったが、サパの旅行代理店でハノイへの夜行寝台列車の切符が手配できるとか。

僕の計画としては、サパで一泊して、翌日の夜行でハノイへ向かう。
まずとにかくホテルを決める。

オランダ女性のミミは、僕たちに軽く挨拶して、とっととどこかへ消えてしまった。
僕もバックパックを背負って、歩き出す。

他の日本人男性旅行者2人も、後を付いてくる。
広場から続く道を歩くと、とにかくホテルだらけだ。

まだ午前中だし、ホテルは十分にあるに決まっている。
最初は適当なところへ飛び込んで、部屋の値段を調べよう。

でも、「適当なところ」とはいっても、最初からいやなホテルを選ぶはずはない。
見晴らしのよさそうなホテルに入ってみた。

すると、どんどん上の階へ導かれた。
階段を登るだけでも大変だし、見晴らしが良すぎて、なにか落ち着かない。

僕はその階段を登る途中で、「欧米人は見晴らしのいい部屋が好きなんだなー」と思った。
日本人というものは、見晴らしのいい高台には家を作らない。

例えば、ロサンジェルスのマリブの高級住宅街を見ればわかる。
みんな崩れそうな崖の上の高台に作られているよ。

僕がイスラエルを旅したときにびっくりしたのが、町がみんな高台にあったことだ。
しかし、日本では大きく違うね。

日本では町は山と山に挟まれた谷底に作られる。
これはだね、日本人が谷底に「引きこもっている」ってことなんだよ。

日本人はもともと、民族としてヒキコモリなんだね。
というわけで日本人である僕は、見晴らしのいい、風通しのいい、ステキな部屋は居心地が悪いと思った。

【通りに面してホテルがずらりと並ぶ/民族衣装のモン族も見える】
そこで、「Queen」という人気ホテルをチェックした。
これが部屋が普通な割りに、シングルで7ドルで、ナットクできない。

これを基準として、通りからホテルの外観を見て、選んでみる。
「Auberge」という看板のホテルがよさそうだと、階段を登って行ってみた。

部屋を見ると、トイレホットシャワーつきのダブルベッドの部屋で、落ち着いていてとてもいい。
それが6ドルだったので、すぐに決めてしまう。

というのは、正直、バックパックを背負って、階段を登るのに疲れてしまったんだよ(涙)。
僕が泊まることにした208号室にバックパックを置いく。

一緒にやってきた金髪くんと亜瀬尾くんは105号室に2人で泊まることにした。
105号室は僕の208号室よりもずーっと小さくて、窓からの見晴らしも良くない。

でもツインの部屋が5ドルなので、一人当たり2.5ドルだ。
寝るだけならばこれで十分だよ。

ところで、僕らが部屋を決めたホテルには、なぜか受付がなかった。
庭を掃いているおばあさんと、そこら辺をちょろちょろ動いている若い女の子が仕切っているようだ。

で、ホテルの名前を聞いてみたら、これは「Lotus」というホテルだった。
昔は「Student」というホテルだったらしい。

部屋を決めてすぐに、翌日のハノイ行きの列車の予約を取ることにする。
「Lonely Planet」に書いてある「GREEN BAMBOO TRAVEL BRANCH IN SAPA」という旅行代理店へ行く。

明日の夜行寝台列車の予約を取ると、1人14ドル。
これには、サパからラオカイ鉄道駅へのバス料金も含まれている。

列車は明日午後8時20分発。
「SOFT SLEEPER」というのだから、中国で言うと「軟臥」だろうと考える。

お金を払うと、切符は明朝11時に渡すとのこと。
午後4時に迎えのバスが来て、そのバスに乗ってラオカイ駅へ行くというシステム。

今日の宿を決めて、明日の夜行寝台列車の切符を予約した。
すると特に何もすることがない。

誰かのガイドブックに乗っていたのか、それとも噂で聞いたのか、サパに「日本人の集まる宿」があるらしい。
それが「ソンハーゲストハウス」。

わざわざホテルを捜して行ってみたが、日本人は誰もいなかった。
ホテルの人も日本語がしゃべれる感じではない。

また、日本人の集まる宿には定番の、日本語の本(マンガ)もない。
それであっさり引き上げてきた。

サパの町の中心から離れているので、わざわざ泊まるところでもない。
バンコクではこのホテルに泊まったという日本人もいたけどね。

まあ、無理に泊まるようなホテルでもないでしょう。
「AUBERGE」のレストランに入ると、このレストランの従業員の態度が非常に悪い。

僕の感じでは、欧米人と付き合うのになれていて、東洋人を馬鹿にしている感じだ。
瓶ビールを持ってくるのに、わざわざ逆さにして持ってきたりした。

ホテルに戻ると、女の子がパスポートを持っていくという。
警察に登録しなければならないようだ。

ベトナムというのは、民主化されているように考えるかもしれないが、実は違う。
ベトナム共産党の一党独裁国家だ。

だから外国人の管理はかなり厳しい。
ベトナムでは原則的には、パスポートをホテルが預かるみたいだ。

ただ、現実的には旅行者の登録だけして、パスポートは返却してくれる。
預けたパスポートも、午後9時ごろに返却してくれた。

まあとにかく、河口からラオカイの国境を越えて、無事ベトナムへ入国できた。
そして、サパへやってきて、寝るところを確保した。

特にぼったくられているわけでもないようだ。
だとしたら、ベトナムの最初の一日としては、悪くないのではないかな。

そう思って、僕は外で買ってきたビールを飲んだ。
見るともなく部屋を見回している。

すると壁に、英語の注意書きを見つける。
チェックアウト時間は午前9時です。これ以降部屋にいたら一日分いただきます」とある。

なんだってー。
日本のボッタクリ温泉宿だって、朝9時のチェックアウト時間なんて聴いたことがない。

でも確かに、ベトナムを旅した人から、「ベトナムはボッタクリ」という話をたくさん聞いている。
なるほど、ここからベトナムのボッタクリが始まっているのかな?

【旅行哲学】ボッタクリが評判の国に行くなら、とにかく注意が必要。
http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20080227