上海〜バンコク旅行記(2002)より。第62話 《チェックアウト時間のヒッカケをすり抜けて、ラオカイ鉄道駅へ》

【ラオカイ鉄道駅】
ロータスホテルの208号室で、なんとなく体中がだるいまま、目覚める。
なぜ身体がだるいか、それは想像してください。

さて、今日やることは、ラオカイから夜行列車でハノイへ行くだけ。
それだけならば普通は、ゆっくりと朝寝ができるはず。

ところが、ベトナムというところはとにかく、油断したら何をされるかわからない恐ろしいところだ。
とにかくベトナムを旅した誰もが、ベトナムにはダマシだらけだと言ってるくらいだ。

部屋の壁には「チェックアウトは午前9時。それを過ぎたら1泊分もらいます」と、英語で書いてある。
英語で書いてあるという意味は、2つある。

一つはもちろん、欧米人ははっきり書いてない場合は金を払わないから。
またもう一つ、日本人は英語を読めないからだよ(笑)。

ここにもベトナム人の人種差別が見える。
ベトナム人は、英語が読めない日本人を馬鹿にしているんだよ。

もちろん僕は英語が読める上に、いろんな体験をしている。
だから、このヒッカケにかからないように考えた。

つまり午前9時前にチェックアウトすればいいだけだ。
問題は僕が泊まっている「ロータスホテル」には、受付も事務所もないこと。

普通はチェックアウトしても、バックパックはホテルの受付で預かってもらえるはず。
ところが、最初からホテルの事務所自体がなければ、預からなくってもいいというわけだ。

うまく考えてるよねー。
これがベトナム人の考え方なんだよ。

とことん、金をボッタクルためにいろいろと考えている。
まあ、ベトナム人が考えているのは、朝から晩まで金儲けだけ。

「外国人観光客からボッタクルことだけ」といっても間違いではない。
というか、欧米人旅行者はうるさいから、日本人旅行者を狙って罠を仕掛けている。

しかし、世界旅行者みどりのくつした(みどくつさん/みど先生)は、こんなヒッカケにはかからない。
だって僕は基本的に、「人というものを全く信じてない」からね(笑)。

だから、8時過ぎにチェックアウトして、105号室へ行った。
そして、亜瀬尾くんと金髪くんに僕のバックパックを預かってもらった。

その時に105号室の部屋をチェックしたが、この部屋にはチェックアウト時間が9時だとは書いてなかった。
ということは、僕のバックパックを105号室に置いても、大丈夫なはずだ。

レストランで朝食を取る。
肉野菜炒めが25000ドン、白飯が4000ドン、光明ビールが8000ドンを2本で、45000ドン。
ここでは、1ドルが15000ドンでそのまま使えた。

だから、5ドル札(7万5千ドン)を渡して、おつりを3万ドンもらった。
歩いていると、郵便局を見つける。

午前が11時半までやって、昼休みがあって、また午後2時から始まる。
これもまた、いかにも社会主義国だよね。

社会主義国では、利用者よりも公務員の方を大切にする。
だから、日本という社会主義国では、国民のことよりも公務員が大事にされているというわけだ。

昨日切符を頼んだ、バンブー(GREEN BAMBOO TRAVEL BRANCH IN SAPA)へ行って、切符を受け取る。
午後7時発、11号車、4番コンパートメント。

金髪くんと亜瀬尾くんと僕のシート(ベッド)番号が、9番、11番、12番になっている。
ということはだよ、だれか10番に来るわけだよね。

このときはなぜ、中途半端な10番が空いているのかわからなかった。
だって、僕たちは3人一緒に申し込んだわけだ。

それなのに、わざわざ途中の番号に誰か寝る。
これってゼッタイにおかしいよ。

この疑問は、さすがの僕でも、このあとハノイからフエへの夜行寝台車に乗ったとき、やっと本当に理解できた。
おそらく僕以外の誰も、それはわからないだろう。

それは、あとでじっくりと、ねっちりと、旅行哲学するので、お楽しみにね(笑)♪
この列車の値段は、切符を見ると127000ドンらしい。

サパからラオカイへのバスの値段が一般的には25000ドン。
合計は152000ドン、つまり10ドルちょっとのはずだ。

それが昨日払った値段が、14ドル。
差し引き4ドル弱。

結構ぼったくってるじゃないか。
でも、切符の手配をしてくれて、送迎までやってくれるなら、4ドル(5百円)ていどは仕方ないね。

まあ世の中、自分で努力したくなければ、他人に任せればいい。
そしてその手数料を払うというのは常識だしね。

サパからラオカイへのバスにのるために、午後3時半にバンブーのオフィスへくればいい。
僕は昼間の時間を、レストランでビールを飲んで、本を読んで過ごしていた。

それが、もとJALにいた深田祐介の「暗闇商人(上・下)」だった。
ただこの本は、全く面白くなかったね(涙)。
午後3時40分にマイクロバスがバンブーの前から出る。
途中で別の旅行会社や、ゲストハウス、街角で客を拾いながら進む。

山道を進み、崖崩れのところでちょっと止まったりして、ラオカイ鉄道駅に到着したのが午後5時半。
つまり、2時間近くかかったわけだね。

ラオカイ駅前でバスを降ろされる。
駅前にちょっとした広場がある。

その広場には、屋台が結構出ている。
広場を囲んだ店も多い。

一緒にやってきた亜瀬尾くん、金髪くんと別れる。
彼らはせっかくだから、ラオカイを歩いてみたいと考えているようだ。

しかし僕は、今日一日、朝からビールを飲み続けている。
歩くこと自体が疲れる。

だから、駅前の食堂のテーブルでビールを飲んで過ごした。
ここでは「Lao Cai Beer」が1本1万ドン。

ビールを飲んで、何度も食堂奥のトイレに通った。
列車の出発が午後7時予定。

午後6時ごろに、亜瀬尾くんと金髪くんが、町歩きから戻ってきた。
午後6時半、一緒にハノイ行きの列車に乗り込む。

列車は、コンパートメントになっている。
一応「soft sleeper(軟臥)」なので、一等寝台ではないか。

コンパートメントは、二段ベッドで4人が寝る。
さてそこでだが、みんなで適当にベッドを決めたら、僕のベッドが9番になった。

ところで9番とは、上段のベッドなんだよね。
でも、4人のコンパートメントに日本人が3人。

つまり、このコンパートメントは僕たちが占領したと考えるのが普通じゃないかな。
すると、10番の下のベッドには誰もくるはずがない。

そこで僕が10番のベッドを取ることにした。
みんながコンパートメントに落ち着いて、出発を待つばかりになったとき、ベトナム人が入ってきた。

彼がこのコンパートメントの、残り一人の乗客だった。
彼の名前は「ハン」さん。

さてここから、いろんな話が始まった。
そこで、おそらくは世界旅行者だけがわかる、ベトナムの真実が明らかになるきっかけとなる。

【旅行哲学】ベトナムの鉄道には、実は、恐ろしい秘密がある。

参考:VNR(ベトナム国鉄英語ページ) http://www.vr.com.vn/english/index.html
http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20080304