上海〜バンコク旅行記(2002)より、第69話 《ハロン湾ツアーT:恋はいつも思いがけなく、突然に訪れるもの》

【ハロン湾のボートの2階席にて】
ハロン湾ツアーは午前7時15分に、僕がツアーを申し込んだ旅行代理店「ラブプラネット」に集合。
すると、ホンゴックホテルのチェックアウトは7時前にしたい。

だって、僕はホテルをチェックアウトして、バックパックをラブプラネットに預けるのだからね。
前日、ホンゴックホテルのスタッフと話をして、ホテルの朝食は午前6時半に取れると確認してある。

すると、荷物をまとめたりする時間を考えると、午前5時半に起きたい。
ラオカイからハノイへの列車で寝れなかったので、昨夜はビールを飲んで、午後10時にはベッドへ入った。

すると、深夜12時、午前2時、午前4時に目が覚めてしまう。
ベッドから出たのは、午前5時だった。

荷物をすべてまとめ、午前6時半にホテルのレストランへ降りる。
すると、そこにはなんと、日本女性が2人いたよ。

ホテルのスタッフが「日本女性が泊まっている」と言ってたのは、嘘じゃなかったわけだ。
すぐに「あなたたちが、ホテルのスタッフが言ってた美女ですか(笑)?」と話しかけて、場を盛り上げる。

そういえば、ホテルのスタッフが、変に日本語を知りたがっていた。
昨日僕がホテルへ戻ってきた時に、「What do you say "I want to kiss you" in Japanese?」と聞いてきた。

僕は普通に教えるのも面白くないと、「あなたの口を吸いたいです」と教えようかと、真剣に悩んだ。
ただ、昨日はとにかく疲れていたので、世界旅行者らしくもなく、芸もなく、「キスしたいです」と教えてしまったんだ。

これは正直、部屋に戻ったあとで、ビールを飲みながら、深く後悔した。
聞かれてそのまま何の芸もせずに、普通に「キスしたいです」と教えるなんて、世界旅行主義に反するよ(涙)。

この日本女性の2人組は、「昨日ホテルの人がみんな『キスしたいです』と言ってきたけど、あれはあなたが教えたのね(笑)♪」と盛り上がった。
そこで僕は、「芸のないことを教えて申し訳ない」と謝罪したよ。

だって、日本の女の子が、海外のホテルでスタッフから「あなたきれいですね」「好きです」「キスしたいです」「結婚してください」などと言われることは、世界の常識だからね。
日本に戻って話をしても、他の女の子から「私も○○で、同じこと言われたわよ」と反撃されてしまう。

せっかく世界旅行者みどりのくつした(みどくつさん/みど先生)と同じホテルに泊まっていたならば、普通ではない体験をさせるべきだった。
そのせっかくのチャンスを、僕が疲れていたために与えられなかった。

これは深く深く後悔した。
次にこういうチャンスがあったら、もっととんでもなくエッチな、人に話せないような言葉を教えてあげようと、決意したよ。

この日本女性2人は、東京のOLさんだった。
言葉の選び方や態度から、一流企業のOLさんだと予想した。

決して美人ではなかったが、会話の流れから、かなり頭の切れる、遊び慣れた女性だとわかった。
「もっと前に会ってればなー」と、ちょっと後悔。

だって「頭のいい女性は必ずエッチが好きなもの(世界旅行主義より)」だからね。
僕はこのOLさん2人に、ちょっと恋におちました。
彼女たちが買ったのは、成田とハノイのの往復切符で11万円くらい。
ホーチミンシティ(サイゴン)も回ろうと考えたが、切符が取れなかったそうだ。

昨日会った学生の「大阪くん」は、サイゴンに入ってハノイから出る切符で7万円といってた。
まあ、飛行機の切符ほどわけのわからないものはないから、航空券マニアでもない限り、あんまり考えない方がいい。

彼女たちはさすがに流行に乗るOLさんらしく、昨日アオザイを作った。
今日はハロン湾の1泊2日のツアーに参加するという。

僕はこのとき、ハロン湾のツアーがどういうものかわかってなかった。
僕がぼんやりと考えていたのは、ハロンツアーで使うのは、大きな船が一つだろうということ。

ハノイにあるたくさんの旅行代理店のどこで申し込んでも、一緒の大きなボートに乗るものと考えていた。
これは、根拠なんか全くなくて、僕のカンだったんだけどね。

OLさん2人には「きっとハロン湾の同じボートで会うと思いますから、またね♪」と、みどくつ名刺も渡さずに軽く別れた。
彼女たちには二度と会うことはなかったよ(涙)。

出会っては別れ、また思いがけないところで再会するのが旅というもの。
もちろん再会しないかもしれないし、再会しても互いに覚えていないかもしれない。

それが旅であり、人生というものなんだ(世界旅行主義より)。
僕はバックパックを背負って、ラブプラネットへ歩いた。

途中の道で、おばさんが売っていた冷えたミネラルウォーターを1本買った。
ラブプラネットに到着して、バックパックを預ける。

昨日一緒に切符を買った「大阪くん」もやってきた。
そのあとラブプラネットから、別の旅行代理店へ連れて行かれる。

そこが本来のツアー集合場所らしく、40人くらいの人が集まっている。
僕は日本人旅行者を探して、目で追った。

日本人の若い旅行者が3人くらいいる。
残念ながら日本人の女性旅行者はいないようだ。

ただちょっと気になった、目立った女性はいた。
ほっそりした東洋人の女性だが、服装からはベトナム人のような気もする。

ベトナム人が外国人旅行者向けのツアーに参加するのはおかしい。
ということは、タイ人かもしれないし、なにかベトナムの観光関係者なのかしら。

僕はその女性を気にしながら、大阪くんと昨日やったことなどの旅の情報を交換して時間を潰す。
たまたま女性のそばを通ったら、彼女が日本語で話をしているのを聞いた。

その瞬間、僕はこの日本女性に、恋をしてしまいまった。
これが世界旅行者の、この日の「初恋」でした。

【旅行哲学】恋はいつも思いがけなく、突然に訪れるもの。
http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20080316