『加州住友銀行に銀行口座を開いて、日本からの送金を受け取る準備を整える』

【UNION BANK OF CALIFORNIA@二番街とサンペドロストリートの角】
僕もこのころは、まだまだ30歳代の若者だった。
まだ若いのだから、飢え死にするのはもう少し後にしたいものだ。

だってまだ僕は世界一周の途中で、これから南米へも行くつもりなのだしね。
現金があと200ドルちょっとしかなくて、クレジットカードに頼れないといっても、僕には奥の手がある。

それにはっと気付いた。
僕にはグレイハウンドの乗り放題のバスパス、「アメリパス」があるのだ。

マイアミで買った1か月有効のパスが、まだ2週間ほど使えるはずだ。
ということは、バスに乗り続けて、バスの中で寝ていれば、宿泊費はタダになる。

ホットドッグとコーヒーとミネラルウォーターで、食費を一日10ドル程度に抑えれば、なんとか今年一杯は生きのびられる。
その間に日本から送金を受ければいい。

日本からの送金を受けるためには、単純に日系の銀行に送らせてパスポートを持って取りに行けばいいという話がある。
昔は実際にそういう送り方をしたのだろうし、現在も可能なのかもしれない。

ただニューヨークの東京銀行で問い合わせをしたところ「すぐに取りに来なければ送り返す」との返事だった。
しかもいつ送金が届くのか分からないのだから、グレイハウンドでうろうろしている訳にも行かない。

一番いいのは銀行口座を開くことだ。
これもニューヨークの東京銀行で口座を開けるかどうか聞いたことがある。

すると、「旅行者は口座を作れない」と冷たくも、あっさりした、きっぱりした返事だった。
だからといって口座を開けないとあきらめるようではだめだ。

世の中は案外なるようになるものなのだ。
そこでリトル東京で一番目立つところにある、そのころ日本大使館も入っていた鹿島ビルの1階、加州住友銀行へと入っていった。

「口座を作りたい」と言うと、正面入口から左側に並ぶカウンターに案内される。
相手をしてくれたのは中国系のおばさんだ。

「口座を作って日本から100万円ほど送金したい」と説明する。
少し考えていたが「クレジットカードを持ってますか?」と聞いて来た。

もちろん例の、問題のクレジットカーは持っている。
パスポートとクレジットカードを見せると「OK、100ドル預けてください」と言って、その場で銀行口座を開いてくれた。

良かった!
これでグレイハウンドで動いている間に送金があっても何の問題もない。

さっそく家に僕の銀行口座の番号を書いた手紙を送って、僕の日本の口座からお金を下ろして、送金してもらわなければ。
いやいや、その前に、もっとやることがある。

リトル東京のスーパーマーケットで見つけていた日本のビールで祝杯だ。
だって2リットルの生ビールがたったの5ドルなのだ(このころ日本では千5百円くらいしていた)。

今日は酒を飲んで酔っ払っていればいいさ。
「一日に一つのこと」これが旅行者のモットーだ。

英語にも有名な諺があるじゃないか!
"Don't do today what you can do tomorrow!"
実は、これこそが、「世界旅行主義」なのだ。
http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20080520