『宿泊費節約のために、ロサンジェルスからバンクーバーへ往復して、またロサンジェルスへ』

【一番街のホテルダイマル(2007)】
世の中のすべてのことは、無理なことをせずに自然に神の指し示すままにしていればいい。
神は、すべてを納まるように納めてくれるものだ。

納まらなければ死ぬだけだ。
死ぬと決まっているなら、じたばたしても仕方がない。

使用停止寸前のクレジットカードで500ドルキャッシングをしようとして、断られた話はしたと思う。
加州住友銀行に銀行口座を作り、日本へ1万ドルの振込依頼のハガキを出した。

部屋で手元にある、グレイハウンド乗り放題の「アメリパス」を眺めていた。
これを使ってバンクーバーまでの往復をしているうちに送金は完了するだろう。

手持ちの金が100ドルちょっと。
だって住友銀行に100ドル預けてあるのだから。

昨日の話では「預けた100ドルは今日は引き出せません。明日なら大丈夫です」ということだった。
そこで、住友銀行の窓口へ行って90ドルを引き出した。

口座に10ドル残したのは、完全に残高をゼロにすると問題が起こるかもしれないと思ったからだ。
そこで、気がついた。

クレジットカードは騙し騙し少額なら使えた。
キ ャッシングも少額ならできるのかもしれない。

これはごく自然な類推だろう。
目についた加州第一銀行の窓口へ足を進めた。

「200ドルのキャッシングをしたいのですが」
するとちょっと待たされたが、無事に200ドルの現金が手に入った。

これが「泣きっ面に蜂」の反対「幸せはいつも団体でやってくる」の証明だ。
この原因は、無理をして焦って日本へ電話をかけたりせずに、ポストカードですませたところにあったことに気付いたかな。

無理をせずに、神に任せる。
そうすれば、なるようになるのだ。

ならないなら、ならないだけだ。

結局、手元には合計400ドルのキャッシュを持ち、少額なら使えるクレジットカードもあり、あと2週間も使えるアメリパスがある。
銀行には遅くとも10日後には、1万ドルの振込があるだろう。

これ以上何を望むことがあるのか?
そこで、僕は夜行のグレイハウンドでサンフランシスコへ向かったのだ。

もうLAでやるべきことはやってしまった。
僕は夜11時発のサンフランシスコ行きのバスに乗る。

その頃6番街とロサンジェルスストリートの角にあったグレイハウンドのバスディポへと歩いた。
現在、LAのバスディポは7番街へ移転しているけどね。

11時発のバスは、インターステイト5という、内陸部を一直線に貫くルートを通る。
たったの7時間でサンフランシスコへ着いてしまう。

すると到着は朝の6時だが、朝のいい時間に到着しようとわざわざ時間をつぶすのもおかしな話だ。
しかし、本来は、すべての旅行計画というものは、到着時間をもとにして計画しなければならない。

例えば午前3時に目的地に着いても、これは全く意味がない。
眠るわけにもいかず、動くには早過ぎるからだ。

また、全く初めての国や町に着く時は、日曜日や土曜日を避けなければならない。
海外では休日には完全に町の昨日が停止することも珍しくはないのだから。

この夜はカリフォルニアの内陸部に大雪が降ったらしく、バスの出発が延期になった。
やっと出発したのが午前0時15分。

このバスはルートを変更したらしく、ベイブリッジを渡ってサンフランシスコに着いたのが午前9時になった。

この後、サンフランシスコのYMCAで一泊した。
そのまま北へ向かってシアトルでバスを乗り継ぐ。

国境を越えてバンクーバーへ行き、とんぼ返りをしてサクラメントへ。
サクラメントで泊まって、リノで「サーカスサーカス」に泊まり、軽くギャンブルをして時間をつぶす。

豪雪のなかを、サンフランシスコでバスを乗り換えて、そのままLAへ。
ロサンジェルスで、バスディポの近くの「ホテルセシル」に泊まって、すぐにソルトレークシティへ。

もちろんわざわざバスの時間を見計らって、ソルトレークシティの行き帰りにラスベガスでギャンブル。
そしてやっと、またLAへ帰ってきた。

なぜこんなに動き回ったのかというと、アメリパスがあったからだ。
グレイハウンドバス乗り放題のアメリパスを持っていると、バスに乗らない日はお金を捨てていることになる。

だとすれば、どうしても理由を付けてバスに乗ってしまう。
バスに乗り続けているうちに身体がバスに一体化していって、身体がバスの振動を求めてしまう。

ついにはバスの振動がないと眠れなくなってしまうのだ。
しかし、まだアメリパスに余裕があるうちにLAへ戻ることにした。

というのは、この頃はまだLAに長期滞在する予定はなかった。
銀行の振込を確認した後でこれからの旅行計画を立て直すつもりだったからだ。

中南米へ行きたい気持ちもあったが、どういうところなのか全く情報がない。
ガイドブックも詳しいものがあるかどうかわからない。

ロサンジェルスで中南米帰りの人に出会えるかどうかもわからない。
ちょっと長旅に疲れてもいた。

ひょっとしてまたヨーロッパに戻ることだって考えられないわけではない。
その時はアメリパスを使ってNYへ戻ってもいい。

LAからニューヨークへ、大陸横断はバスに乗り続けてたったの72時間だ。
そのためにも少し有効期間を残しておきたかったのだ。

「ホテル大元」の細い階段を上って挨拶する。
前回世間話をして顔見知りになっていた中国人のおばちゃんが喜んで、僕を「いい部屋」へと通してくれた。

さて、前置きが長くなってしまったが、これから、僕が「ホテル大元」を出て「ホテル加宝」へ移った事情を語ることにしたい。
でも、今日はこれまで。

そうそう、ダイマルへチェックインしあたと、銀行へ行ってATMをチェックした。
すると、残高が1万10ドルになってました♪
http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20080521