『沖縄の女の子は、あっさりしていて素直で、話が面白くて、元気で、楽しい』

【ダイマルホテル】
泊まったその日に、ダイマルホテルの2階の狭いスペースでまず僕が出会ったのは、沖縄出身の女の子だった。
僕の経験からいうと、沖縄の人はだいたいみんな性格がいい。

特に沖縄女性は行動力があり、話も面白い。
彼女もその通り、あっさりしていて、行動力のある、気持ちのいい女の子だった。

彼女はそのころのアメリカ旅行者と同じく、ダイマルを起点にしてアメリカ一周をして帰ってきていた。
2人で、東海岸やフロリダに比べて西海岸はビールが安い♪、という話で盛り上がる。

驚いたのは、彼女は僕がケニアのナイロビにいたころに、同じくナイロビにいたというのだ。
彼女は動物専門学校に通っていて、そのツアーでアフリカ旅行をしたらしい。

そういえば僕がナイロビにいた1988年の夏、日本人の溜り場イクバルホテルのレストランで、話が出たことがある。
「近頃普通の格好をした日本人の女が急に増えた」という話があった。

その疑問がここで解決された。
旅をしていると分かるのだが、案外世の中って狭いものなのだよ。

明るい女の子は僕も好きなので、一緒にロサンジェルスのチャイナタウンへ昼飯を食べに行ったりした。
その時にはホテルに泊まっていた、暗い男の子たち2人も誘って4人になった。

僕はちょっと知り合った女の子を独占しよう、などという男ではない。
わいわいやる時は、みんなでわいわいやった方だ楽しくて好きなのだ。

この子はとてもいい子で、行動力も、度胸もあった。
「アメリパス(グレイハウンドの乗り放題のパス)がまだ余っているので、ラスベガスで運試しをしてくる!」と、ギャンブルに飛び出して行った。

ホテルの「親切な」おばちゃんが荷物を預かるのを嫌がった。
そこで、彼女の荷物は、僕の部屋で預かることにした。

僕は、すでに加州住友銀行に1万ドル(この時期だと135万円ほど)の入金を確認していた。
それでも、まだ迷い続けていた。

これからどこへ行こうか?
このままあっさりと日本へ帰るには、金があり過ぎる。

中南米へ下るというのも魅力的だが、とにかく時間がかかるだろう。
しかも、中南米一周なんて、まともな情報も無いわけで、大変なことは間違いない。

それよりも、またヨーロッパへ戻ったほうがいいかもしれない。
陸路でヨーロッパから、インド経由またはシベリア鉄道で日本へ帰ってもいいのでは?

時間もあり、金もあるというのは、選択肢が多過ぎる。
とにかく旅行の本を読んで考えてみよう。

リトル東京からブロードウェイまで一番街を歩き、ブロードウェイを南へ7番街まで歩く。
そこから西へ(そのころ)ヒルトンホテルにあるインフォメーションへ。

途中でいろんな本屋に入っては、ロンリープラネットの中南米向けガイドブックを捜した。
が、見つからない。

今までもインドやアフリカでロンリープラネットの「シューストリング」シリーズを使って全面的な信頼を置いている。
この本なしに「地球の歩き方」だけを持って中南米へ下るなどという自殺行為はしたくない。

肝心な本が見つからないというのは、どういうことなんだろう?
神様がぼくに中南米へ行くなと警告しているのだろうか?

ホテルへ帰って階段を上ると、ちょっと痩せた女の子を見つけた。
話を聞くと、このホテルに住んで、ロサンゼルス教育委員会主催の成人向けの英語クラスに通っているのだとか。

とにかくどこへ行くか決まらないのだからLA名物「ディズニーランド」へ行って時間つぶしをしてもいいな。
男一人でテーマパークへ行くというのはとても寂しい(これはオーランドのディズニーワールドで経験済みだ)もの。

女の子を「明日ディズニーランドへ行かない?」と誘う。
「明日はだめだけど、明後日ならいいよ」との答えが返る。

僕は断わった。
明日のことは計画するが、明後日には、どこへ行くのかわからないのだから…。
http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20080522#p6