『ホテル大元のキッチンで、ボクサー、南米旅行者、だらだら滞在者に会う』

[Hotel Daimaru@Little Tokyo]
「ホテル大元」には、キッチンもあった。
僕が最初にダイマルに来た時に、ホテルの中をうろうろしていた時に偶然このキッチンに出くわした。

大きな冷蔵庫が一つあって、レンジもあることはあるが、非常に汚くて薄暗い。
そこに3人の日本人の男がいて、ものも言わずに料理をしていた。

僕は旅行中、初対面の人には非常に低姿勢でていねいな話し方をする。
「すみませ〜ん。このホテルに泊まってらっしゃる方ですか?今日からお世話になります」と、声をかける。

そして「へー、料理してるんですか(笑)♪」と、話す。
3人は「変に明るいやつが来たな」といったふうに迷惑そうな目で僕を見た。
が、僕のまったく他意のなさそうな無邪気な雰囲気に、僕を相手にしないわけには行かなくなったようだった。

「ここにはみなさん、長いんですか?」と持ち上げる。
こう聞けば帰ってくる言葉は一つだけに決まっている。

「まあ、ちょっとながくいるけれどね」だ。
これをきっかけにいろいろなことを聞き出した。

1人は日本からアメリカへボクシングをしに来ているのだそうだ。
彼は4回戦ボーイで近々試合もあるという。

この頃のロサンジェルスは、いろんな人が自分の夢を実現しようと試みる場所だったんだ。
これには僕もちょっと感心してしまった。

もう1人は「これから南米へ下る」という話だ。
それで彼から南米の情報を手に入れようとしたのだが、彼は特に何にも知らなかった。
ただ、僕は南米旅行へ出る人とはじめてであったことになる。
これ以前に、イスタンブールやナイロビで、「南米旅行をした旅行者」と会った事があるけどね。

問題は彼はロサンジェルスから直接コロンビアへ飛ぶ計画。
僕が考えている、中米を陸路で下ることについての情報はまったく持っていなかった。
もう一人は、ただの学生旅行者で日本からLAへ飛んで来て以来ずっとこのホテルにいる。
ほかの2人と一緒に食事を作って食べるのが日課だとか。
旅行に来たのになぜこのホテルにずっといるのか不思議だった。
が、後になればこのタイプが意外に多いのがわかった。
LAで友人関係ができてしまって、その関係から飛び出す気力がないだけなのだ。
アメリカ大陸を横断してLAに着いたばかりの、その頃の僕の生き生きとした感覚にぴったり来なかったね。
http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20080522#p7