海外の日本人宿とは、日本社会から外れた人たちが「プチ日本社会」を作る場所

【オルベラ街の入り口に立つ世界旅行者(2001)】
この「ホテルダイマル」で、僕はすでに2人の女の子に会ったことを書いている。
1人は沖縄出身の明るい女の子で、ギャンブルをしにラスベガスへと向かった。

その女の子の荷物はホテルが嫌がったので、僕の部屋で預かってるけどね。
宿泊者の荷物を預かるのは世界中の安宿の常識だが、ダイマルではやってないんだから…(涙)。

もう1人は、ロサンジェルスの成人学校で英語を勉強しているやせた女性で、一緒にディズニーランドへ行こうか、と盛り上がった。
が、2日後の旅の予定は立てられないからと、僕が断ってしまった。

この2人の女の子と僕の話を読めば、僕が非常にあっさりしていることがわかるよね。
世界旅行者とは、女性に親切で、しつこくない、理想的にさわやかな旅行者なんだよ♪

旅先の人間関係の基本は、とにかくあっさりしていること。
だって旅の人間関係とは、会ってすぐに親しくなって、盛り上がって、翌日はどこかへ行ってしまうことの繰り返しだから。

ところがここに、四国の田舎から出てきた、旅行もまともにできない男が出てくると迷惑なんだよなー。
旅行の基本というものがわかってないから(涙)。

この田舎男は、たまたま自分と同じ田舎出身の、性格の悪い女と知り合った。
この田舎男と話し相手になれるレベルは、同じ田舎出身で無いと無理だったようだ。

ところが、やっと話し相手になってくれた四国の田舎女は、彼と知り合った翌日に日本へ戻ってしまった。
もちろん根性の悪い女だから、誰にも挨拶せずにこそこそと帰ったわけだ。

翌日の昼頃、田舎男がホテルの中国人のおばちゃんに女の居場所を聞いたところ、「あの子は帰ったよ」と言われた。
そこで田舎男は、「不健康そうにやせた英語学習女」に声をかけて、ディズニーランドへ行くことにした。

英語学習女も当然田舎男と2人きりでディズニーランドへ行っても面白くない。
勝手にほかの学生に声をかけて誘って、4人で行く話になったそうだ。

英語学習女は、僕にも声をかけるつもりで、「西本さんも誘います♪」と言った。
が、田舎男が僕は「西本さんは、ディズニーランドに行かないそうだ」と話したそうだ。

田舎男は、僕と一緒にディズニーランドへ行くのが嫌だったらしい。
もちろん僕は田舎男とディズニーランドに行くなんて、考えただけでヘドが出るので、それはそれでいいけど。

この日本人宿の人間関係が、足を引っ張りあう日本社会そのもので、どっと疲れが出てしまったよ。
結局、海外で日本人旅行者が集まる「日本人宿」とは、こんなものなんだよなー。

日本人長期旅行者というものは、基本的には日本社会の主流からは落ちこぼれている。
日本社会に適応したまともな人間が、長期旅行をするなんてことはあるはずがないからね。

だったらどうせオチコボレなんだから、海外の日本人宿に泊まったら、日本社会から外れたもの同士で、楽しく過ごせばいいだろう。
ところが、日本人宿の日本人集団の中でも、日本人社会を持ち込んでくる人間がいるんだよね。

結局、日本社会から脱出したようで、頭の中は日本社会そのものなんだよ。
だとしたら、海外旅行に出るだけ、金の無駄ではないかな。

そう思ったが、日本人というものは、ほとんどはそういうレベルなんだ。
自分の金を使って海外へ来たのに、そこでも日本社会べったりの人間に会うとしたら、金と時間の無駄だ。

ところで僕の旅は、ロサンジェルスで終わっているわけではない。
これからどこへ行くか、という大問題を真剣に考えなければならなかった。

まず目前に迫っていた問題。
マイアミで購入したグレイハウンドバス乗り放題のアメリパスがもうすぐ期限切れになる。

この時期のアメリパスは、有効期限が切れる前に1日に付き10ドル払えば、有効期間を延長できた。
実は、パスを延長するのか、延長してどこへ行くのか、という問題に決断を迫られていたのだ。
http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20080523#p3