「本物の旅行者の話は、絶対におもしろいはずだ」(キューバ3)

ここで、僕のLAの定宿「ホテル加宝」について、少々説明しておこう。

「ホテル加宝」の住所は「460 East 4th st. LA CA 90013 U.S.A.」にある。

ロサンジェルスの東4番街の460番地、ということはリトル東京の真南にあたる。

リトル東京の観光名所、日本風の建物の並ぶジャパニーズビレッジは東1番街から2番街にあるし、観光バスがいつも停まっているデューティフリーショップは3番街と4番街の間にある。
つまり、ほとんどリトル東京そのものと断言しても、それほど間違いではない。

ちょっと違っているのは、あたりにホームレスさんの姿がちらほらすることだ。
しかし、ホームレスさんたちが歩いているからといって、別に危険なわけではない。
ホームレスさんはお金がないのでピストルを持っていたりしないし、いつもおなかが空いているので、暴力的でもない。

つまり、ハリウッドなんかよりもずっと安全なのが常識的に判断できるだろう。

しかし、この近所は一般には「危険だ」ということになっている。
これは実は日本人旅行者向けのガイドブックが広めた誤った噂なのだ。

旅行者というものは、もともと気が弱いので、どこどこが危ない、という話は一斉に広まる。
ところがその危険を実際に経験した人間はどこにもいなくって、ただ同じ本を読んで、同じ情報を互いに交換しているだけだ。

だから、僕が旅行経験の少ない人間の話を聞くと、あはー、ほうほう、どこどこから出た話だね、とすぐにわかる。

なぜかというと、最近は旅行に出る人間が旅行を「勉強」しているので、みんな同じ話をするからだ。
しかも、全く面白くない。

旅行の話の基本は「面白い」ということにあるので、本物の旅行者の話は必ず面白い。

だから、旅行経験が豊富だと言いながら話が面白くなければ、それはウソツキだ。

そして、こういうウソツキが日本中にはびこっているのだ。

旅行雑誌の編集者、旅行ライター、町内の旅行自慢、パソ通の旅行フォーラムの常連。

彼らの書いたものを読んで大笑いしたことがあるだろうか?
ないだろう。
ウソツキだらけなんだから、当然なんだよ!

本物の旅行者が話上手になるのは、話上手であることが旅行の一つの重要なテクニックだから、必然なのだ。

まあ、僕ほどになると、話し出すと連続6時間や7時間は止まらない。
体力さえ続けば3日3晩は話し続けられる自信があるくらいだ。

だから僕は将来の堅実な人生設計として旅行講演でラクーに食っていこうと考えている。
全国のPTA、老人ホーム、青年会議所、ライオンズクラブ、女子高、幼稚園、刑務所、自衛隊など、どこでもウケるだけの、その場その場に合わせた各種材料はもうすでに揃っている。

まあ、本を出す、というのは旅行講演で金儲けをするための前段階に過ぎないのだ。

本がいつまでたっても出ないのは困るが、それは日本の出版界のレベルが低いだけのことで、僕が悪いわけではない。

読者も今のうちにファンになっておくと、将来は子供にも自慢できるので、心がけて置いて欲しいね。

(cuba3)

cuba4

home