《LAでバイブを買う(メルローズアベニュー)》winter,1997

 

僕はアルコプラザのMTAオフィスで、半月有効のパス(21ドル)を買った。

パスを買っただけで、それを見せびらかしていても意味はない。
もちろん、買っても、持っているだけで使わなかったら、大損だ。
お土産にもならないんだしさー。

旅行ではおもしろくもおかしくもないウンチクを傾けていても仕方がなくって、行動しなければならない。

だから、僕は、パスを購入したその足で、さっそくダウンタウンのど真ん中、ヒスパニックの人たちで混み合うブロードウェイと6番街の角のバス停から、#11のバスに乗り込む。
ブロードウェイの北行き#10または#11に乗ると、どこへ行くの?
それはMELROSEアベニュー

MELROSEアベニューとは、LAの原宿とも呼ばれるところ。
若者のファッションがメインのところだ(だから、日本で店を大展開しているGAPもある)。
僕は世界一周の途中でLAへ寄ったときから、ほとんど毎年やってきて、この町の移り変わりを目にしている。

まあ観光地でもあるし、インドや中南米方面のグッズをあつかう店もあって、誰でも一度は寄りたいところ、来てみて損はないからだ。
この通りは、いかにもLAらしく、だらだらと長い通りなのだが、ワンブロック裏に入ると、そこはごく普通のアメリカの住宅街。

ここには一時期(今でも)、日本人向けの古着を売る店が多かった。
僕も日本人の古着屋の買い付けに付き合って、あちこちうろついたことがある。
白人でも日本語で声を掛けてきたりする(こういう場合、彼は日本で日本人の女の子を引っかけて、その女の子の金で店を開いているものだ)し、日本語の看板を立ててある店も多い。

しかし、僕が今度やってきた理由は、古着の買い付けではない。
ちょっと違うんだ。

僕はバイブを買いに来たんだ!

MELROSEの7566番地に、そのアダルトショップがある。
店の名前は「DRAKES」。

アダルトショップとはいっても、観光地にあるファッショナブルな店なので、女性客も多く、明るく、店員も親切で丁寧。
外国人も日本人も、カップルで来ている人が多いし、日本人女性のグループも、バイブを何本も手にして、ニコニコ、キャッキャしているのが微笑ましい。

ほーんと、みんなセックスが大好きなんだよー!

僕の主唱する「世界旅行主義」というのは、こういう自分自身のディープな経験から成り立ってるから、説得力があるんだね。

この店には、バイブだけではなく、セックス関係のものはたいてい揃っている。
奥にはSM関係の各種道具が陳列してあるぞ。
店の入り口近くには、本番ビデオがリーゾナブルな値段で売ってある(ここはレンタルもする)。
僕の見たところ、日本で買うより、ずーっと安い(はいはい、みなさん、ここでメモを取ってね)。

さらに、もともとホモセクシャルの店なので、アナル関係の器具が多い。
アナルバイブもあるし、もちろん普通のバイブも、たくさんの種類がある。

この店でお土産を買う時に注意することは、いくら欲しくても、ポコチンそっくりのモノは日本の税関を通らないこと。

僕のLAの友人「金髪の金ちゃん」が、血管まで浮き出たポコチン型バイブを日本に持ち込もうとして、捕まって、他の危ないモノまで発見されたとか(恐いなー)。
その噂以来、金ちゃんは消息不明になっている。

本物のポコチンそっくりの、血管の浮き出た、ブットイ、バイブやバイブしないもの(ハリカタっていうのかな)が選り取り見取り、たくさんあるが、女性は欲望を抑えて、よだれを拭いて、ここは普通のバイブで我慢して欲しい。

普通のバイブだと、税関でも「これはフェイスマッサージャーです」と言い張れるからだ。
というか、ポコチンの形さえしていなければ、バイブを日本に持ち込んでも何の問題もないので、隠す必要もない。
日本帰国時の手荷物検査で「これはなんですか?」と質問されたら、堂々と「いろんな形のバイブを一ダース買ってきました!」と言って欲しい。

もっと高性能の、いろんな複雑な動きをするバイブが欲しければ、日本でいくらでも手にはいる。
僕がここでバイブを買うのは単にアメリカの「お土産」として、日本で会う女の子たちへの名刺代わりのプレゼントだからだ。

女の子はみんなバイブが大好き

しかし、女の子はなかなか自分でバイブは買えない(最近は通信販売で買う人も多いようだが)ので、そのやるせない気持ちを汲んで「アメリカ土産だから」という口実でバイブをプレゼントすると、女の子も受け取りやすいものだ。

「なーにー、これ、いやだーバイブー!でもアメリカのお土産だからいいかっ!」といいながら、心の底では、「世の中や女性の気持ちのよくのわかった人ね、きっとセックスもよくわかってるはずよ(うっとり)」と思って、胸がキュンとするものなのだよ。

しかも、日本のバイブは結構高いが、アメリカは他のすべてのものと同じく、バイブが安い。
昔は、2ドルちょっとで、ブルブルかわいく振動する小型バイブもたくさんあったのだが、最近はアメリカの景気が良くなったせいか、一番安いバイブでも5ドル程度はする。
こうなると、そんなにはたくさん買えなくって、結局6本程度になった。

というわけで、バイブを買って、店を出て、すぐに帰りのバスに乗っる。
ダウンタウンまで40〜50分。
そのあいだずっと、LA市立図書館で借りた、児島襄の「満州帝国」を読んでいた。

ダウンタウンに戻って、ブロードウェイの3番と4番の間にある「グランドセントラルマーケット」でトゥゴー(お持ち帰り)の中華弁当($3.50)を買う。
1ドル札を出してオレンジ4ポンド(2キロ程度)を買い、日の暮れかけた4番街を歩いてホテルへと戻る。

これだけのことを、午後のちょっとした時間に、さっさと済ませてしまった。

これが「世界旅行者」の本物の旅だし、LAの楽しみかたなんだね。

vibe

メルローズのセックスショップの情報更新は→VIBE2000


list home