《グアテマラでアメリカのビザを取る》(この記事は1996年に書きました。情報は1996年のものです。現状は自分で調べてください)

「アメリカに長期滞在したくて日本で学生ビザや観光ビザを申請したけど断わられちゃった。グッスン・・・」タイプの日本人の若者が最近激増している。
日本の米国大使館が厳しくなって、ビザ申請してもすぐにはもらえず、だいたいインタビューを受けさせられる。

これ自体は特に問題ではなくて、ちゃんとビザ取得の条件を満たしてて、それをきちんと説明すればビザはもらえる。
ただこのインタビュー予約が非常に込んでいて、出発が迫っていると間に合わずにあきらめる人もいる。

中には勉強する気もあんまりないのに、アメリカに長期滞在したいから、それで学生ビを取ろうと考えて、業者に頼んだり、自分でアメリカの語学学校からI−20(まあ、これは留学に必要な書類の一つだけどさ)を送ってもらって、ビザを申請したら呼び出しを受けて、英語が出来ないとビビッて大使館へ行けずそのままになっている人もいる。

アメリカでこういうタイプの人達に何人か会って話をしたんだけれど、ずいぶん誤解があるようだ。気のついたことを書いておくね。

あたりまえの話だけれど、日本の米国大使館には(もちろん)日本語がしゃべれる職員がいるから、英語が出来なくても話は出来るんだよ。
語学力の心配はいらない。
でもね、アメリカで勉強する気がないのに留学ビザが必要だと納得させるのは、これは相手はそういう連中としょっちゅう会ってるプロなのだから、ちょっと難しいよ。

僕自身が東京の米国大使館で観光ビザを取った時、窓口で職員と喧嘩している若者を見たことがある。
誰が見ても勉強のためにアメリカへ行きたいタイプじゃなかった(日本でも教科書を開いたことはないと簡単に予想出来たが)

「それじゃ、あなたは僕は一生アメリカで勉強するなと言うんですか!あなたの名前を聞かせて下さい。訴えます!」と叫んでたのが面白くて、結構楽しめたね。

どうしてアメリカに長期滞在したいだけなのに、勉強する気もないのに、学生ビザを取ろうなんて考えるのかな。
長くアメリカにいたいだけなら(3か月以内ならビザがなくてもアメリカに滞在出来るパイロットプログラムがあるから)そのままアメリカにずーっといたらいいじゃないか?

もちろんこれを洒落て格好よく言うと「不法滞在」になるし、これを勧めているわけでは決してない。
でも、よく聞くように「不法滞在したらアメリカへ二度と入国出来ない」というのは間違い。

僕の知人はそれぞれ4年間、3年間不法滞在していたが、今年2人とも問題なくアメリカへ入国して、現在堂々と不法労働をしている。(これも僕は勧めているのではなくて、そういう事実を言ってるだけなことに注意してね)。

単にアメリカに(3か月を越えて)長期に滞在したいのなら、観光ビザを取ればいい。で、これも長期滞在の理由や滞在費の証明、ちゃんとした職業がある証明をしなければならないし(前に書いたように)結構時間がかかる。

うまく学生ビザを取っても、勉強したくない人にとっては重荷なんじゃないかな。
学生ビザは結構出席日数や旅行制限なんかで面倒なことが多いんだ。

勉強したかったらまずアメリカへ行って、現地でまず学校に通ってみて、それから決めるのがいい。(学生ビザがなくても英語を勉強することは問題ない)
語学学校に日本から授業料を払い込んだ後で、ビザが取れなくて泣いてる人も多いんだよ。

で、ノービザの3か月はあっという間に過ぎてしまうし、不法滞在はしたくない時にはどうしたらいいか。
答は「海外でビザを取ればいい!」という単純明解なこと。

日本で外国のビザを取るのはどの国についてもなかなか面倒なことは、旅行者の常識。
アメリカのビザもその通りで、日本でなく海外で取るとあっけなく取れたりする。

でも、どこでも取れるわけではない。

カナダでアメリカのビザを取るのに日本から様々なでっちあげの書類を送らせたという人と会って話を聞いたことがある。
カナダでアメリカのビザを取るのは難しいようだ。

東南アジアの米国大使館では、窓口で「日本で取りなさい!」と追い返されるという。

では現在はどこで取れるかというとだね、それがだね、昔簡単だったメキシコではもう取れなくなった。(「おいおい引っ張り過ぎだよ。早く言えよ!」という皆さんの声が聞こえますが)

現在は中米のグアテマラの首都グアテマラシティの米国大使館で簡単に取れます。

グアテマラはメキシコの南の小さな国でマヤの遺跡で知られている。
ビザを取るついでに、ティカル遺跡でも見物してくれば?

日本からLAの切符は5万から6万円、LAからグアテマラへは往復350ドル程度。
空港に着いてタクシーに「エンバハーダ・デ・ロスエスタードスウニードス(米国大使館)!」と言えば連れてってくれる。

午前9時に申請するとその当日午後2時に5年マルチの観光ビザがもらえる。
観光ビザは米国内で学生ビザに変更することも可能だ。

なおこの大使館には日本語ぺらぺらの米国人がいて、非常に愛想がいいとの報告がある。
試してみる価値があると思うが、どうかな?

(スーパーニューズマガジン「GON!」1996年1月号掲載)

kenichiro.nishimoto(c)1996

(注意)この内容は1996年現在のもので、現在は米国不法滞在についての罰則が設けられ,状況が変わりました。
グアテマラでの米国観光ビザ取得も困難だという報告があります。
しかし、旅では状況は常に変化しますから、参考にして、自分で確認してみてください(つまり、行ってみなければわからないってことね)。


「みどりのくつした氏とは」

アンデス山脈5、500mから死海の-400m まで、世界チョー百カ国を個人旅行した世界旅行者。現在世界旅行中の会員2名を持つ世界旅行者協会会長。個人誌「世界旅行者」と旅行講演で「正直な」旅行情報の普及を目指して活躍中

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