《国産イエローキャブはマジでホントか?》

気分よく寝ていたらオランダから「久しぶりー、げーんき?」と、どこまでも明るい声で国際電話があった。
「世界旅行者協会」の外人大好きI嬢だ。

でもね、外人とSEXしながら電話かけてくるんじゃないよ!

それに始める前と終わった後で電話の内容が違うじゃないか。
最初は「オランダはなんでもありで面白いから来たら?」だったのに、1時間後の話では「こっちは飽きたからLAで会おう!」だってさ(では、オランダ人は1時間で終わりか。それなら僕の方が勝ってるな)。

目がぱっちり覚めてしまったので、今回は「日本女性の海外での大活躍」について書いてみようと思う。

このコラムを読んでいる童貞の中学生諸君は、週刊誌なんかによくある「プーケットのビーチボーイと日本女性の乱れた性」とか「バリで男を買いあさるOL」とか「イエローキャブと呼ばれて誰とでも寝る日本女」という記事を読んでも、それは噂だけで本当は違うなんて甘いこと考えているんじゃないかな。

ブッブーッ!それは大間違い。
日本女性は世界中でホントに大活躍なんだよ(悔しいけど……)。

バリ島のクタビーチでサングラスをかけて英語の本を読む振りをしながら、ちらちらと隣で寝ている白人女を観察していたことがある。
トップレスで乳首がよく見えたからだ。

で、ポコチンが立ってきた時はうつぶせになって誤魔化したりしていた。
と、別の方から「ねー、彼女ー遊びに行かない?」と日本語が聞こえる。

こんなところまで来て日本人同士でナンパするんじゃねえよ、とヤキモチを焼きながら顔を向けると、なんと、声をかけているのは正真正銘のバリ人の兄ちゃんだ。
声をかけられた日本女性も「忙しいの」と最初は断っていたが、このバリ人は異常に口がうまい。
なにを言われても軽くきり返して、結局ディスコへ行く話がついた。

このカップルがその夜どうなったかについては知らない(後をつけたりしなかったので)。
でも、簡単に誘いに乗ったのはホントだ。

僕がその頃泊まっていたのがクタビーチのパンタイ通りに面した「ユリアビーチイン」というシングル600円の安宿だったが、2泊しかしなかった。
向いの部屋に日本の女の子が2人で泊まっていて、真夜中過ぎに帰ってはその夜の出来事を大声で詳細に話し合う習慣だったからだ。

あまりのすごい内容に中年男の僕はいたたまれず、睡眠不足になり、「これでは体力が持たない」と宿を出ることにした。
ビーチ正面でプール付きの「ヤサ・サムドラ・バンガロー」(朝食付きで15ドル)に移動したのはこのせいだった。

バリでは確かに日本女性は現地の男と遊んでいる。

僕はウブだったので、これは特別な話だと思っていた。

ところが「世界旅行者協会」のY嬢がサイパンに旅行する理由が、ディナークルーズのギター弾きのフィリピン人とSEXするためとの話。
彼女はとてもまじめに見えるし実際まじめなのだが、タイに旅行したら今度はガーナ人と出来てしまった。
タイのガーナ人は日本女性を引っかけて日本に定住する計画を持っている。

この話を協会のS嬢にしたら「私もグアムで黒人とやったのが黒人大好きになった始めよ!」と告白した。
彼女はLAのベニスビーチでストリートパフォーマーの黒人と同棲していた経歴もある黒人とダンスが大好きな女性だ。

思えば、LAの有名な安宿「加宝」に関西のお嬢様がやってきて、ボディガードとしてサンフランシスコに一緒に行った男と簡単にSEXしてしまったこともあったっけ。
僕はその頃「お嬢様はSEXもウンコもしない」と信じていたので、本当にびっくりした。

お嬢様はアメリカを一回りして帰ってくると、僕の部屋に電話をかけてきた。
早い話が「軽く一発やろうよー!」ということ。

僕はなぜか断ってしまったが、今でも時々夢に見る。
あのころは、まだ僕も40歳前の若者だった。

誰にもある青春時代の甘酸っぱく、ほろ苦く、いがらっぽくも激辛の、渋茶を飲んだような、しょっぱい想い出だ。

アメリカに語学留学したら、寮の隣の部屋が日本人の女の子で、毎晩外人と大声を出してSEXするので勉強が手につかず、落ちこぼれたという悲しい友人の告白もある(彼の場合はもともと頭が悪かったが)。

僕の経験では、海外で性的に活発なのは一見まじめそうな女の子が多い。
それで、老若男女、旅行に出る時はコンドームを持って行くべきだと、僕はLAのメルローズアベニューのDRAKES (昔はCONDOMANIAと言っていた)という専門店で金貨パッケージのコンドームを大量に買って、旅行に出る予定の女の子たちに配っていた。

最近も海外から帰って来た女子高生(おいおい…)が「外人用のコンドームを持ってて助かったわ!」と感謝の言葉をくれた。

まあ若いうちは病気にさえならなければ、したいことをなんでもしたらいいさ。
でも、僕は日本女性の海外での実態を知って以来、SEX恐怖症になった。

特に最近はAIDSの女の子とは、コンドームがないと1回しか出来なくなった。
コンドームさえあれば朝まで可能だけれどね。

海外旅行に出る時は外人向きの大きいコンドームを用意すること。
僕は成田空港でコンドームを配ることを、日本政府に強く要望しておきたい。

(スーパーニューズマガジン「GON!」1996年8月号掲載)

kenichiro.nishimoto(C)1996


「みどりのくつした氏とは」

リオのベルメーリャ、ケニアのラム、南インドコバラムビーチ、チュジニアのジェルバ島、紅海ハルガダ、西インド諸島バルバドス、LAラグナビーチ、死海、ガンジス川で泳いだチョー百カ国世界旅行者。世界旅行者協会会長

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