『女の子には逃げられ、一人寝た部屋は騒音が激しく、逃げようとしたらATMが使えない』@ダカール/セネガル

【ゴレ島の風景@ダカール/セネガル】
1人で部屋に戻って、ベッドに横になる。
楽しいことがあるはずだったダブルベッドに倒れこみ、そのまま寝込んだ。

が、部屋の外の物音が激しくて真夜中に起きてしまった。
部屋には天井の扇風機があるだけだが、昼間の熱がこもって熱い空気をかき回すだけだ。

わかった。この旅は失敗だった。
やはり止めとけばよかった。

もともと西アフリカなんか来たくなかったんだからさ。
もう帰ってしまおう!

乗ってきたアエロフロート機は、今夜モスクワへと飛びあと一週間は戻ってこない。
しかし別の航空便はヨーロッパに飛んでいるだろう。

よーし、逃げ出そう、こんなひどい所は。
そう決意すると少し気が楽になった。

いやなところに、無理にいることはないんだから。
翌朝、とっとと起き出すと朝の町へ飛び出した。

2001年3月6日の火曜日、つまり平日。
旅行代理店に行って切符を買って、できるだけ早くヨーロッパへ脱出だい!と元気が出る。

しかしまたいやに町が静かだね。
昨日空港で両替した金は、タクシー代、電話代、食事代で使い果たしてしまった。

両替率がいいと本に書いてあった「CBAO」という銀行を探す。
広場に面した通りにCBAO銀行があって、その前にひょろっと背の高い黒人ガードマンが立っている。

彼に聞くと、両替専門の場所はここではなくて、通りを入ったところだとのこと。
「しかし、今日は休みだよ!」と明るい。

「プフクワ(なーぜ)?」とフランス語で聞く。
と、今日は「TABASKI(タバスキ)(犠牲祭)」という祝日で、銀行も、両替も、旅行代理店も、みんなきれいにお休みだってさ。

なんてこった…。
ダカールを逃げ出すこともできない。

しかも今日の分のお金がない。
そうだそういう時のために、クレジットカードと国際キャッシュカードを持ってきているのだ。

ここはアマゾン奥地と並ぶ世界の秘境セネガル。
でも、町の中心独立広場に面してVISAとシティバンクのATMがある。

まずシティバンクのATMで、自分の口座から引き出そうとする。
がカードが蹴られてしまう。

日本ではもちろん使えたし、海外でも以前パリでもロンドンでもギリシアのシンタグマ広場のATMでも無事に金を引き出した。
でも、ダカールのATMからはなぜかお金が出てこないのだ。

次にVISAのマシンに挑戦するが「暗証番号が間違ってます」とフランス語が表示される。
そうだ!このVISAのカードは新しく作ったとき「全部同じ番号だと危ないかも」といつもと違う暗証番号にしてあったのだ。

問題は、それを記憶してないことだ。
おいおい、ダカールに絶望して脱出しようとしたらその日が休日で、両替もできずキャッシングもできないままなのか。

僕は、独立広場に立ちすくんでしまった。
「金のない旅行者は、乞食以下」このとき、海外旅行の重要な格言が浮かんだので、早速メモ帳に書き込んだ。

しかしそんな格言を思いついても、何の役にも立たない。
神は、ついに、西アフリカ、ダカールの独立広場で、世界旅行者を見放したのか!
http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20090408