世界旅行者は、在ダカール日本大使館に潜入し、地図製作氏に会う

【写真】後ろのパラボラアンテナの建物が在ダカール日本大使館。右方に国旗も見える。
NGOの日本人美女2人に、「ダカールというのはなんにもないサイテーの所ですね。暇つぶしに読む日本語の本もないし…」と不平を言う。
すると、日本大使館に図書室があると教えてくれた。
そればかりか、わざわざ新しく移転した日本大使館まで連れて行ってくれた。
僕は別にダカールの日本大使館なんかに行きたかったわけではない。
しかし宗教団体の人が僕に声をかけて日本大使館へ連れてきてくれたのなら、大使館に入るのが運命なのだろう。
考えてみると、ダカールの日本大使館情報というのも旅のネタには違いないしね。
大使館は厳しくガードされていて、ガードマンに日本のパスポートを見せて入館する。
大使館の新築の大きな建物の右手に読書室の部屋があって、壁面には本棚がある。
壁の書棚に日本語の本もビデオテープもある。
中央に大きなテーブルがあって本を読めるようになっている。
ところで僕が読書室へ入ったら、部屋の中に長い髪をぐるぐると頭の上で巻いた身体の大きな日本人中年男性がいた。
スーツを着た立派な身なりの人が二人「よかったですねー」と話をして、部屋を出て行く。
話かけると髪の長い男性は「地図製作(ちず・せいさく)」という名前だとか。
僕はピンとひらめいて「あなたはひょっとして、地図の製作に関係している人ですか?」と質問する。
するとまさしくずばりそのもの。
地図さんは海外旅行をしながら世界各地の町の地図を徒歩測量で製作しているのだそうだ。
地図さんは日本の貧乏旅行情報を売り物にする雑誌に海外から地図を送っている。
この大使館にもその雑誌が送られてきていた。
話が面白そうなので、夕方、僕のホテルに来てもらって続きを話すことにする。
だって午後二時には、僕はマリ大使館にビザをもらいに行かなければならないんだからね。
僕は大使館を出るとタクシーを捕まえてマリ大使館へ行き、すぐにビザをもらった。
ビザは「3ヶ月有効、シングルエントリー、1ヶ月滞在ビザ」になっている。
まあ僕はマリなんかに行くつもりがないんだから、どうでもいいけどさ。
町に戻って通りの新聞売りから昨日付けの「International Herald Tribune」を1500フランで購入する。
そのヘラトリを、部屋で読みながら寝てしまった。
夕方ホテルに来た地図さんと、またポンティへ行く。
通りに面したテーブルに座り、ビールをどんどん飲んで旅の話をする。
さて地図さんが日本大使館にいた理由だが、実はマリで熱帯熱マラリアが発病した。
ほとんど身体が動かない状態で、バマコからダカールへ列車で着いて日本大使館に飛び込んだのだとか。
日本大使館に病院に送られて、一週間ほど入院してやっと助かったのだという。
「バマコの、シェ・ファンタにいたとき、ずいぶん蚊に食われたせいかな。それとも、トンブクトゥに一ヶ月いて地図を作っていたとき…」と、話が続く。
僕は考える。
つまり、西アフリカは致死性の熱帯性マラリアの巣窟なんだよ。
地図さんは運良く日本大使館に飛び込んで助かったが、普通はそううまくは行かない。
これもまた、西アフリカ旅行なんて切り上げて、ヨーロッパへ行けという神のお告げのようなものだね。
2人でポンティでビールを飲んでいると、目がくるくるっとした、色っぽい黒人の女の子たちが話しかけてくる。
これは売春婦さんたちだ。
アフリカではというか世界中で、売春は日常にありふれた立派な職業だ。
女の子がかわいくなければ、客は付かないんだからね。

【写真】後ろのパラボラアンテナの建物が在ダカール日本大使館。右方に国旗も見える。
【旅行哲学】とにかく誰かに話しかけると、何か面白いことが起きるもの。
http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20070123