マリ航空でトンブクトゥへの切符を買い、シェファンタにファンタおばさんに会いにいく

【写真】シェファンタのファンタおばさんと
マリ航空のオフィスに入ると、カウンターの中の太った黒人のおばさんが用事の終わったらしい客と長い世間話を続けていた。
それが終わるのを辛抱強く待って僕の番になり、トンブクトゥへの飛行機のことを聞く。
すると「明日、トンブクトゥへの便があります」とのこと。
これは運がいい。絶対に乗らなければならない。
「でも満員だったかもしれないわねー」とおばさんは首をかしげる。
僕は「日本人なので、時間がないんです。なんとか僕のために席を一つ見つけていただけないでしょうか?マダム」と、丁寧なフランス語でお願いする。
マダムは奥の部屋に引っ込んでいったが、戻ってきてニッコリと笑い「席がやっと一つありました」と答える。
料金は片道87400フラン、往復173800フラン。
帰りのフライトをどうするのか聞かれるが、往復でも料金にたいした変わりがないので、現地で考えることにして、片道だけにする。
9万フラン出すと「ごめんなさい、お釣りがないの…」と、半分予期していた答えが戻ってくる。
しかしいくら予期していても2600フランも損するのは癪だ。
僕は大事に取っておいた千フラン札を8枚出して、8万8千フラン払い「お釣りはいいです」と愛想よく笑う。
おばさんもニコッとする。
600フラン、100円程度をチップとしてあげたわけだ。
その理由はこれだけ恩を着せがましいことを言われて何もあげなかったら、予約を取り消されそうな雰囲気がおばさんからムンムンしていたからだ。
そしてその雰囲気がおばさんだけのものではないこと、マリ航空の特徴であるという恐ろしい事実が、これから明らかになるだろう。
トンブクトゥへは火曜日の午前8時に出て、モプティ経由で到着が11時50分予定。
飛行機が混んでいるということは、今の時期もフライトはたくさんあるのだろう。
現地で考えたらいいさ。
トンブクトゥへの気楽な旅が、悲劇的な地獄旅行に変わるのは、帰りの便を確認しなかった、この心の緩みにあったとは、この時、神ならぬ身の知りうることではなかった。
《早朝のタクシーが来ない時は、神に祈って解決する》

翌日のマリ航空の切符を手にしたあとは今夜のホテルを決める。
あとたった一日しかいないのだし、現在泊まっている駅のホテルでも別に悪くはないさ。
でもそれではバマコのホテルの話ができないよ。
やはりここではバマコを歩いて、旅行者に知られているホテルを一通り偵察しておくことも必要だろう。
これは正直、純粋に僕自身の好奇心のためだけどさ。
特に地図製作氏が「ひょっとしたらあそこでマラリアにかかったのかも…」と言っていた「Chez Fanta(しぇ・ふぁんた)」つまりファンタおばさんの家。
ここは世界中のバックパッカーが集まる有名な安宿だ。
ひょっとしたら、面白いやつに会えるかもしれないしね。
手許にある英文ガイドブック「Lonely Planet」には、バマコで手ごろな宿として「Hotel Lac Debo(オテル・ラック・デボ)」が紹介してあり、それはさっき最初に飛び込んだ旅行代理店のならびだ。
部屋を見せてもらうとトイレ、シャワー、エアコン、通りに面したベランダ付きの大きな部屋109号室が15000フラン。
これはかなり気持ちいい部屋なので、すぐに決定して、とっととチェックインしてしまう。
預けておいたバックパックを取りに駅に戻ると、窓立度氏と雀部くんがちょうど朝食の最中だった。
僕がとっくに明日の飛行機の切符を買ってホテルを決めてきたと言うと、窓立度氏は、あわててダカールへの自分の切符を買いに飛び出して行った。
僕は基本的に今日やることをやり終えてしまったので、またビールを飲んでゆっくりし、ザビエルや黒人客、黒人売春婦さんなんかと話をして時間を潰した。
窓立度氏が切符の手配を終えて戻ってきたので三人で歩き始める。
僕のホテルに行くと昨夜の列車でちらっと見かけた白人の若い女の子が二人泊まっていた。
彼女らも僕のことを覚えている。
彼女たちは米国フィラデルフィアから来て、これからPeace Corps(平和部隊)の活動で、マリの小さな村へ行くのだとか。
窓立度氏もラックデボに宿を決め、みんなで雀部くんの宿を捜しに(という口実で)街歩きにでかける。
シェファンタへ行く途中でSURETE(治安警察)へ寄ってマリの入国スタンプの事を聞いたが、わけがわからない。
まあいい加減な国だから多分入国スタンプなんかなくてもいいのでしょう(結局、入国スタンプなしでまったく問題ありませんでした)。
シェファンタは道を間違えてちょっと捜したが近所で聞くとすぐにわかった。
日本人の客は泊まってなかったがフランス人の若い女の子が二人いた。
台所に名物のファンタおばさんがいたので、(フランス語で)いろいろ話をして一緒に写真を撮る。
【写真】シェファンタのファンタおばさんと
【旅行哲学】西アフリカを旅行するにはフランス語が必要ね
http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20070130