『早朝のタクシーが来ない時は、神に祈って解決する』

【世界旅行者@Maison des Jeunes du Mali/Bamako/Mali】
雀部くんはニジェール川のすぐそばの「Maison de Jeunes」に宿を決める。
彼にさよならを言ってホテルに戻り、レセプションの男性に明朝の空港行きタクシーの相談をする。

バマコからトンブクトゥへのフライトが明朝8時。
「国内線なので7時に出れば何とかなる」とは僕は考えない。

マリ航空のおばさんがほとんど満席だと言っていた。
だから切符があったって、遅く空港に行ったら席がなく乗れないことも十分に考えられる。

明日飛行機に乗りさえすれば、長年の夢トンブクトゥへ到着できる。
ここで中途半端なことはしたくない。

絶対確実に席をゲットするために、空港に2時間前の6時に着くことを考える。
その30分前の5時半にタクシーを頼んだ。

部屋で休んでいるとホテルの男性がタクシーの運転手を連れてきた。
そして、「彼が5時半に迎えに来ます」と紹介してくれる。

運転手と握手をして、明日のことをお願いする。
ホテルの会計は、そのときに済ませて、領収書をもらう。

早朝はガードマンはいるかもしれないが、責任者はもちろん寝てるからね。
翌朝5時、いつものように目覚まし時計が鳴る前に起きる。

ホテルのレセプション前で床のマットで寝ているガードマンを起こして、5時半にホテルを出る。

バマコの朝はまだ真っ暗だ。
そして予約しておいたタクシーを待つ。

しかし、一向に現れない。
20分待ってもタクシーの「タ」の字も来ない。

しかも流しのタクシーもない。
これはだめだ。

マリでは、運転手とにこやかに握手までして約束したタクシーも、当てにならないのだ。
えーい、仕方ない。

2002年の冬季オリンピックが開かれたソルトレークシティー、そのモルモン教本殿の黄金の聖書にあった「タクシー召喚呪文」を唱える。
僕は1989年にソルトレークシティーに行ったときに、その呪文を習っていた。

するとボンという音と煙が立って通りの角にタクシーが出現する。
ここまで読んで、「タクシー召喚呪文」を知りたいと思ったキミ。

そんな何でも信じてしまうような単純な頭では、海外個人旅行はできませんよ。
僕は真っ暗な通りを歩いて、バマコ駅へ行こうとしたわけだ。

というのは、駅に行けば、タクシーは見つかるだろうからね。
その途中で、教会前を通ったので、教会に祈った。

すると、次の曲がり角にタクシーが停まってたというわけだ。
それを象徴的に、芸術的に表現したものです。

タクシーは見つかったが、ぼろぼろだ。
窓ガラスにはひびが入りかなり古ぼけている。

まあ動きさえすればいいさ。
声をかけて乗り込み、空港へと出発する。

タクシーは真っ暗な市街地をガタゴトと走り始める。
途中で急に細いわき道へと入った。

知らない土地で旅行者が一人でタクシーに乗ることはとても危険だ。
しかも夜明け前の闇の中だ。

タクシーに何をされても文句は言えない。
だって殺されて、一生文句が言えないようになるのかもしれないのだから。

このタクシー運転手は、運転席から降りて、外に出て、にやりと笑った。
その白い歯だけが暗闇で見える。

なんとここまで来て、トンブクトゥを目の前にして、世界旅行者は倒れるのか??
http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20090202