《世界旅行者はプリズナーNO6となる》@トンブクトゥ(Tombouctou,Timbouctu)/マリ(Mali)

僕はホテルアザライを出て町の中心部へ歩き出した。
するとどこからともなく少年が現れて話しかけてくる。
ガイドをしようかというので、「ちょっと町を歩くだけだから」と断る。
次にもう一つのホテル、ブクトゥの前を通ると、さっきの4WDが止まっていて「オーイ」と声がかかる。
声をかけているのは、運転手とハナサンだ。
町の中心とアザライは一本道でつながっていてその途中にホテル「ブクトゥ」がある。
つまりブクトゥで見張っていれば、僕の動きは全部わかってしまうのだ。
適当に返事をして、町の中心の泥でできたモスクを見る。
次に警察署へ足を運ぶ。
というのはトンブクトゥでは旅行者は警察に登録をしなければいけないらしい。
パスポートにスタンプでも押してもらえばいい記念になると思ったからだ。
しかし警察にいくと「いまは、ストライキ中だ」との答えだ。
次は郵便局へ行って絵葉書と切手を購入する。
歩いていると「HOTEL LA COLOMBE(ラ・コロンブ)」というホテルを見つける。
中に入ると、かわいい女の子が出てきた。
このホテルは一部屋19000フランで、ビールは1200フラン。
こっちの方が新しくできたようで、部屋にはテレビがあるのがポイントが高い。
ただ窓がないので、ちょっと気がめいりそうだ。
グランマルシェ(市場)へ歩いて、マリ航空のオフィスを見つける。
ドアが閉じていて「朝8時からオープンしていますが、仕事は朝だけ」と看板に書いてある。
町を歩いてわかったのは、この町が砂に埋もれかけているということ。
普通の道も深く砂がかぶっていて、歩くたびに足がめり込んでものすごく歩きにくい。
ホテルブクトゥへ行って部屋をチェックしてみる。
ブクトゥにはいろんな部屋がある。
が、値段と設備を比べるとアザライのほうがずっといい。
ブクトゥのレストランでビールを飲むと1250フラン。
ガイドのニガサンが僕を見つけて、フランス語と英語で、話しかけてくる。
かなりしつこいが、適当にあしらっていろいろ情報を聞き込む。
トンブクトゥからモプティまで4WDが走っているらしい。
もちろん僕はそんな大変に決まっている乗り物に乗る気なんか、全くないんだけれどね。
ブクトゥの部屋はよくないが、テラスがあってそこから砂漠を望めるのがいい。
テラスへ出ると、中年の白人男性がいた。
オーストラリア在住のドイツ人で30年前にアフリカを旅行したことがあるのだという。
「昔はビザなんて面倒なことは言わなかったものだが、今はあちこちビザが必要になって旅がしにくくなったね」と嘆く。
彼もダカールからバマコの国際列車に乗ってきた。
「アフリカの状況は悪くなるばかりだ。列車ももうすぐ動かなくなる」と二人で同意する。
警察がストライキをやっている話をしたら、その朝、学生がデモをして学校に石を投げていたのを見たという。
学校の教科書代が有料化されたので、荒れているらしい。
つまりマリの治安状況は悪くなる一方だということだ。
トンブクトゥもいまは一応安定しているが、観光客が減ってトゥアレグに金が落ちなければ反乱が起きる可能性があるという。
こういうことを話しながら、二人で砂漠に落ちる夕日を眺めていた。
彼は日本から10日間の予定でトンブクトゥへ来た日本人に会ったとか。
ブクトゥに一泊して翌日帰って行ったらしい。
そんなに毎日飛んでるのかと聞いたら、トンブクトゥでは飛行機が一泊して翌朝戻るのだとか。
そしてこのドイツ人は、今日到着した飛行機が戻る明日の朝にトンブクトゥを出る。
ここで僕はとんでもないことに気がついた。
僕は帰りの飛行機がいつ出るのか調べてなかったのだ。
明日帰ってもいいわけだが、まだハガキも出してないことだし、もう一日はいてもいいと考える。
トンブクトゥの町にはまともなレストランはホテルの中にしかなく、アザライで夕定食(日替わりで一種類しかない)を取ると5000フラン。
大きなレストランだが僕の他は女性一人男性二人の白人が一組いるだけだ。
ビールを4本飲んで、部屋に戻った。
ただ、部屋の明かりが暗いので、本を読むこともなく、早めに寝た。
【写真】トンブクトゥの外れの砂漠で。
【旅行哲学】みんなが見るものはないと言っていたトンブクトゥには、やはり見るものはなかった。
http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20070124