《麗江に行ったら、そこはディズニーランドだった、というオハナシ》

【世界文化遺産 麗江古城 江沢民】
昨日、紅山茶賓館向かいの旅行代理店で、午前9時に大理を出発して麗江へ行くバスを予約していた。
ただ、このバスがどういうものかわからない。
大理へ来る前に寄った下関の大きなバスターミナルから麗江へ、「YUNNAN EXPRESS」の豪華バスが出ていることは確認してある。
大理に来る前に、ターミナルでその切符を購入しようとしたのだからね。
でも、大理にやってきて、そこに旅行代理店があれば、わざわざ下関へ行く必要はないだろう。
旅行代理店ではマイクロバスが麗江まで直行で走っていると言った。
大理も麗江も一応、世界的な観光地なのだから、観光客向けの特別なバスなのだろうと、僕はぼんやりと考えていた。
旅行代理店の女の子に連れられて行ったところは、菊屋の近くの護国路と博愛路の角だ。
ここでボケーッと待っていると、9時20分にマイクロバスがやってくる。
しかし、それは観光客用のバスでもなんでもなくて、地元の人が使うしょぼいボロボロのバスだ(涙)。
でもまあ僕は、中国の旅行代理店そのもの、中国そのものにたいして、今までの経験からまったく期待をしていない。
あっさりと現実を受け入れる。
指定席でもないのに、なんとか自分の座る席が見つかっただけでも、運がよかったといえるだろうね。
シートの下がタイヤの部分になっていて、足が伸ばせなくて、縮こまってなければならなかったのが、ちょっと困ったけどね。
このバスは、これから先、あちこちで客を拾いながら、のろのろと進んで、もちろん途中では乗客をびっしりと詰め込んでしまった。
朝のバスに乗るときの一番大切な問題点は、トイレだよね。
起きてから、なるべく水分を取らないようにはしていたのだが、やはり、少しオシッコをしたくなる。
すると、1時間半ほどたって、マイクロバスはガソリンスタンドで止まり、車体を洗う。

【大理から麗江へのバスがガソリンスタンドで停まって、トイレ休息】
ガソリンスタンドにはトイレがあり、みんなでぞろぞろとトイレへ行く。
洗車の間ちょっと休息をするわけだ。
やはり、中国人は日本人と同じような東洋人なので、トイレの問題は注意しているようだ。
というのは、この帰りの大型バスに乗ったときも、やはり途中のガソリンスタンドで、きちんとトイレ休息を設けていたからね。
大理と麗江の間が約3時間で、トイレ休息は出発から1時間半後と中間で、トイレに行けるように計算してある。
思い出せば、昆明から大理へ5時間のバスのときもちょうど中間地点で、トイレ休息が入っていた。
そういう意味では安心できるかもしれません。
が、トイレ休息が確実にあるとは限らないので、やはりトイレのないマイクロバスに乗るときは、朝から水を控えていた方がいいでしょうね。
大理から麗江への道は、かなり曲がりくねった片側一車線の細い道をたどる。
右側に大きな谷を見たりして、なかなか景色はいい。
だがこの時期は雨季のせいか、ずっと雲がかかっていた。
小雨模様で、一時期は霧の中を走るようなこともあり、ちょっとひやひやもした。
約3時間たって、バスはかなり大きな、低いビルの並ぶ、ありふれた変哲もない「中国の町」に到着。
マイクロバスがたくさん止まっている駐車場のようなところで停車する。
これが、どうやらマイクロバス用のバスターミナルのようだ。
気合を入れて、小雨の中を歩き出したが、自分の位置がわからない。
通りかかった人に、毛沢東の像の位置を聞く。
もちろん僕は中国語は出来ないので、ノートを開いて、そこに「毛主席像?」と書いて、方向を教えてもらったんだよ。
すると、すぐに毛主席広場が見つかって、バスを降りたところの見当がつく。
僕がいつも持っている折り畳みのレインコートを着て、バックパックをよっこいしょと背負い直して、オールドタウンへと歩き出す。
つまり僕は本のたくさん入ったバックパックを背負っているんだ。
麗江をちょっと見るだけならば、大理の紅山茶賓館に泊まり続けて、部屋にバックパックを置いて、日帰りで麗江へ来てもよかった。
その気持ちがかなり大きくて、迷っていたのだが、今朝、ふと世界旅行定理を思い出したのだ。
その世界旅行定理とは「海外個人旅行では、戻ってこようと思っていても、戻ってこれないもの」ってやつだ。
海外旅行をしていて、一つの町やホテルが好きになって、別のところへ移動して、すぐにまた戻ってこようと思う人はたくさんいる。
そういう人は、自分の荷物をホテルへ残して置いたりする。
でも、荷物を残しておいた人は、ほとんどは戻ってこないんだよ(涙)。
LAの「ホテル加宝」がそうだった。
10年ほど前までは、このホテルには不法滞在者や旅行者などのわけのわからない人たちが住み着いていた。
そして、それぞれ友人を作って遊びまわっていた。
そのうちに「金がなくなったので日本に帰るけど、またすぐに戻ってくるから…」と、自分の荷物をまとめて、ホテルに残している人も多かった。
私物の入ったトランクを残していくならまだしも、中には自分のモーターサイクルや自動車まで置いていた人もいた。
でも、荷物を置いている人ほど戻ってこなかった(笑)。
ある町やホテルが好きになって、変に気持ちが盛り上がって、絶対に戻ってくるキモチはあるかもしれない。
でも、そこを一度離れて別の状況に出会ってしまうと、少々居心地がいい程度でわざわざもどってくる人なんかいないよね。
人が別の環境にはいれば、また別の興味がわいてくるもの。
思い起こせば、ボリビアのラパスで出会った、通称「ロボ」という日本人男性旅行者がそうだったね。
彼はペルーの首都リマに親類がいたので、日本からやってきたのに観光もせず、リマにだらだらと長く滞在していた。
その後、クスコやマチュピチュを見ないと恥ずかしくて日本に帰れないからと、いやいやながら思い切って旅に出た。
出るときに「すぐに戻ってくるし、ペルーを旅すると泥棒が多くて危険だから…」と考え、お金の半分を親戚の家に残したんだ。
ところが旅を始めると、心配するほどのことはなくて、ペルーの旅行を楽しんでしまった。
ボリビアのラパスまで来たんだ。
でも、それから先、僕らと一緒にチリやアルゼンチンへは進めなかった。
だって、金がなくなっちゃったんだもの(涙)。
彼のトラベラーズチェックの半分は、リマの親戚の家に置いてあるんだからさ(涙)。
それがわかっていたから、ぼくはわざわざ居心地のいい大理の紅山茶賓館を出て、バックパックを持って麗江に来たってわけなんだよ。
だって、麗江で僕の運命の「白馬に乗ってムチを持ったボンデージスタイルの、杉本彩そっくりの女王様(!)」に出会ってしまうかもしれないんだから…。
麗江の町は、たいして大きくなくて、大きな通りを歩いていけば、迷うことなく麗江古城に着いてしまった。
で、なぜ麗江古城にやってきたとわかるかというとだね、入り口には、大きなモニュメントがあるから(笑)。
小雨の中を歩いて、やっとたどりついた麗江古城。
それは、「古い、壊れそうな、歴史的な趣のある小さな町」であるべきだ。
ところが麗江古城の前に、豪華な世界遺産記念碑があって、その前に中国人民が大勢いて写真を取っていたら…。
ガクッとしないかな(笑)。
僕はもちろんガクッとしたんだよ。
で、そのあと、麗江古城の中に入っていった。
参照:「麗江古城写真集」
平日だというのに人がものすごく多くて、全く落ち着かない。
古城の中は、確かに建物は昔風に整備されているのだが、僕の経験からは、ディズニーランド風のテーマパークの臭いがプンプンする。
「こりゃ参ったな…。でも一応、一泊ぐらいはしてみるかっ」と、うろついている。
古城の中はかなり近代化されていて、中にはインターネット喫茶や西洋風のカフェも目立つ。
「Lonely Planet」に紹介してあった「First Bend Inn」を見つける。
中国人のマネージャーは「今日だけは一つ部屋があるけれど、明日は予約で満室だから、出て行ってもらいます」という豪快な返事だ。
そのもったいぶった部屋を見ると、麗江風というのか、なんというのか、窓もないベッドだけしかない、つまらない部屋だよ。
そこで僕は、「こんなところにいる必要はない!」と、結論した。
一応古城といわれる地域を見て回ったが、全く面白くもおかしくもない。
水路があって、きれいな水が流れているが、その横には外国人観光客でびっしりのレストランが立ち並んでいる。
有名な四方街も、たいして広くもない、特徴のない、ただの広場だ。
アジアのことをなにも知らない欧米人の頭の悪い若者ならば、これで何かを勝手に感じるかもしれない。
が、僕が感じたのは、世界遺産を売り物にして、海外からの旅行者からぼったくる、その中国政府の強欲な観光政策しかなかったね(涙)。
僕はまた麗江古城の正面入り口から出て、普通の町並みを麗江の長距離バスターミナルまで20分ほど歩いた。
すると、すぐに出発する中型バスが見つかる。

【麗江のバスターミナルで大理(下関)行きのバスの最後の一席が僕のために残っていた】
それに乗る。
これは本当に、僕が最後の1人だった。
途中で時々停まったので、大理古城でも停車するかと思ったら、そのまま下関まで行ってしまった(涙)。
僕が見たところでは、わざと大理古城に停まらずに、ちょっと離れたところで客を降ろして、リキシャーに稼がせているようだ。
後はぼーっとしながら、下関まで乗っていた。
下関から大理へ戻らなければならない。
もうおなじみ四路バスに乗ろうとすると、フランス人の若い女の観光客が二人いた。
話しかけて大理古城への案内をしてあげた。
朝出た場所の菊屋の前でバスを降りて、すぐに紅山茶賓館へ行って、また部屋を取る。
すると、「今夜の部屋はあるけれど、明日は予約で一杯で部屋がない」と宣告される。
うーん、やはり、7月から8月にかけては、中国でも観光シーズンなんだろうね。
とにかく、今夜の部屋を確保して、ちょっと休んで、おなかが減ったので(だって朝から食ってないんだからさ…)、また菊屋へ向かった。
そしてここで出会ったのが、謎の留学生だったのだ。
そしてここで、第二夜の説経が始まるんだよ。
これは、ちゃんと日本人相手なので、面白いと思うよ。
http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20080815#p1
(「世界旅行者・海外説教旅」041)