アグラフォートへ歩き、ツアーに参加して、イギリス人旅行者と写真を撮りあい、シャージャハーンが幽閉された部屋から、タージマハルを見る@アグラ/インド

【アグラフォートにて/1985年1月/イギリス人旅行者が撮ってくれた】
僕がカジュラホから、ローカルバスで11時間かけて、日暮れ時に着いたアグラ。
バスの窓から、ガイドブックで見つけたホテルの看板が見えた。
あわててバスを降りた。
だって、夜になって、暗くなった土地勘のない町を、宿を探して、うろうろするなんて、ゼッタイにやりたくないからね。
バスの窓から、ホテルの看板が見えたということは、神様からの「ここに泊まりなさい」とのお告げだね。
このホテルのマネージャーは、なかなか信用できそうなインド人だった。
誰でも聞いたことがあるだろうが、インドにはウソツキや詐欺師がたくさんいる。
これを、「そんなことはないだろう」「大げさだよなー(笑)」などと考えたら、大間違い。
インドで旅行者が出会う人は、ほとんど詐欺師だと考えても間違いではない。
しかし、ごく少数だが、本当に信用できる人もいるんだよ。
問題は、人生経験、海外旅行経験の少ない若者には、その判別ができないということ。
海外旅行に出る日本人旅行者には、なぜか「現地の人と友達になるのはいいことだ」という、海外旅行幻想がある。
中には、「僕はどこに行っても、現地の人とすぐに友達になります」などと自慢する、頭の弱い、世間知らずもいる。
すぐに友達になるような現地人は、詐欺師か泥棒だけだ(笑)。
日本人旅行者にわざわざ話しかけてくるインド人というのは、全員、詐欺師なんだ。
普通のインド人は、日本人旅行者に話しかけてくることはない。
話しかける理由がないからね。
ここがわからないから、日本人旅行者は、本当にカンタンに、騙されてしまうんだ。
アグラでは、日本人男子学生が行方不明になったことがある。
また、日本人女性2人が監禁強姦されたこともある。
しかし、これはほんの氷山の一部だよ。
だって、普通の日本人は、トラブルがあっても、届け出たりせず、我慢するからね。
僕はホテルに泊まった翌朝、アグラ観光に出発する。
アグラといえば、とにかく、「タージマハル」だろう。
でも僕は、アグラの市内地図を見て、まず「アグラフォート」へ歩いた。
もちろん、信用できない、リキシャーなんかは使わない。
新しい町は、自分の足で歩き回るのが一番いい。
町の大きさなどが、実感としてわかるからね。
自分の足で歩いて、土地勘ができたあとなら、乗り物を使うのもいいだろう。
そうすれば、変な方向へ行こうとしても、すぐにわかるから安全だ。
一度歩いていると、自分がどこにいるのか、だいたい見当がつくからね。
海外個人旅行では、とにかく「歩く」のが大事だ。
僕が泊まっていた宿は、アグラフォートからも、タージマハルからも、歩いて、30分程度のところだったのではないかしら。
まず、アグラフォートへ歩く。
アグラフォートは、この時代(1985)、入場したら、客をまとめたツアーがあった。
英語のガイドが付いて、城(アグラフォート)の中をあちこち案内してくれる。
英語の案内板もあるので、ガイドの説明が終わったあとで、説明を読んで確認したりする。
僕は、「Collins Gem English Dictionary」をいつもポケットに入れて、わからない単語があればすぐに調べるようにしていた。

アグラフォートでは「booty(戦利品)」「turret(要塞上の小塔)」という言葉がわからなくて調べたね。
すると、イギリス人の若者が興味を持って、声をかけてきた。
「何を調べてるの?」ってね。
いままでのネパールとインドの旅行記を読んだ人は、僕が旅先のあちこちで、欧米人と気軽に話していることがわかるだろう。
1984-1985のインド旅行では、欧米人も日本人も、個人の長期旅行者が多くて、みんな気軽に声を掛け合ったものだ。
だから、欧米人にも気軽に声をかけたし、欧米人も僕に声をかけてきた。
その理由としては、この時代は日本が昇り坂で、世界中のちょっと知的な人は、みんな日本人と話したかったから。
今になれば、わざわざ日本人と話をしたいと考える欧米人は、いないけどね。
互いに写真を取り合って、旅の話をした。
上の写真は、そのイギリス人が取ってくれたものです。
タージマハルを建設したシャージャハーンは、息子によって、アグラ城(AGRA FORT)に閉じ込められて、ここでなくなったとのこと。
その窓からは、ヤムナー川と、その岸に立つタージマハルがよく見えた。
僕が、この最初のインド旅行に出たのは、愛について悩んでいたときだったので、シャージャハーンの気持ちがよくわかった。
閉じ込められていたにしても、愛する妻のきれいな墓(タージマハル)を見て、残りの人生を過ごせたとしたら、本望だったかもしれないね。
アグラ城のツアーが終わって、ツアー参加者と別れる。
アグラ城からタージマハルまでも、僕は歩くつもり。
ところが、リキシャーマンが声をかけてきた。
僕はもちろん、「歩いていくからいいよ」と返事する。
しかし、アグラのリキシャーマンは、断ったくらいでは、引き下がらない。
この話はまだまだ続きますよ。