一緒だったカップルをバラナシ駅で見送る。バラナシ駅で切符が簡単に買えることを知った。@バラナシ/インド
バラナシのツーリストバンガローに泊まって、何日か過ぎた。
バンガローの中で、ポカラからずっと一緒だった日本人の男女2人組と話をしていた。
彼らとは、だいたい毎日会って、話をしている。
互いに別の旅をしているので、一緒に行動する約束をすることはない(ガンガモーニングツアーは別だったけどね)。
ホテルや町で偶然出会ったときに、何があった、これはこうなっているらしいという程度の情報を、交換している。
それで暇があれば、一緒に行動するだけだ(といっても、だいたい暇なんだけどね)。
こういう、「着かず離れず」の人間関係が、一番気楽だ。
僕が、海外個人旅行で手に入れたのは、多分、この、あっさりした人間関係を作る能力だと思うよ。
例えば、僕は、出会った人と、一瞬で友達になれる。
しかし、例えば、付き合っていた女の子から別れを持ち出されても、抵抗なく別れられるんだ。
これはもちろん、離婚のときじゃないよ。
そのときは執着もあり、誤解を解かなければと、いろいろ悩んだものだ。
でも、離婚した経験があれば、人と別れることは、慣れてしまうわけね。
それに、本格的な長期旅行者は、旅先で、人と出会っては別れ、を繰り返しているからね。
カップルが、バラナシからデリーへの夜行列車に乗ると聞いた。
それが、出発の何日前か、多分前日だったような気がするが、はっきりしない。
旅人は、出会っては、別れるもの。
別れる時が来るだろうとは思っていたし、また僕も、そろそろ移動しなければならない。
「移動すること」、これが、旅人の本質なのだからね。
ただ、バラナシの安宿にずーっと滞在している人間もいるようだ。
もちろんそういう旅もあるんだ。
僕もロサンゼルスの、伝説の安宿「ホテル加宝」で、1988年から2002年まで、毎年一か月以上、ずーっとだらだらと過ごしていた。
それは、僕が最初の2年8か月の世界一周旅行を終えたあとで、日本がイヤになって、また半年ロサンゼルスに滞在したあとの話だ。
その「ホテル加宝」の話は、こちらにあります
旅には二種類あって、だらだらと一つの場所に滞在するのも旅。
どんどん移動を続けるのもまた、旅だ。
しかし、たいした旅行もしてないのに、だらだら滞在してはダメダメちゃんだね(涙)。
というのが、世界には、まだまだ見てない、もっといいところがあるだろうと考えるのが、旅行者というものだから。
僕は次の移動のことは考えていて、すでに、バラナシからサトナへの切符は、手配していた。
インドの鉄道の悪い噂は、たっぷりと聞いていたから、最初はとにかく、安全策をとるつもりだった。
バラナシ駅(VARANASI JUNCTION)へ、行ってみたら、予想通り、わけがわからなかったので、切符は旅行会社に頼んだ。
最初に列車に乗るのは、バラナシからサトナの鉄道で、これは昼の列車の上に、明るいうちにサトナへ着く。。
安全第一で考えれば、乗車クラスは「一等」になるよね。
それから、昼間の移動だ。
サトナから、カジュラホへは、バスがあるらしい。
バスに乗ってしまえば、問題はない。
しかしカップルは、バラナシ駅で、自分で切符を買ったという。
駅はすぐ近くで歩いていけるし、もともと暇なインド旅行者だから、駅での切符の買い方を教えてもらった。
すると、とてもカンタンでした(笑)。
インドの駅は、どこで切符を買ったらいいかわかりにくいだけで、窓口がわかれば、簡単なんだ。
問題は、窓口がわかりにくいように作ってあるところなんだよ。
でも、パズルを解くのが趣味の人だったら、切符を売ってある窓口を捜す楽しみも追加されるわけね。
2005年に行った、チェンナイセントラル駅の、外国人切符売り場もわかりにくかったなー。
鉄道切符に限らず、インドは、わかりにくいだけなんだよなー。
インド人は、わかりやすくしようとは、全く考えない。
デリー地下鉄の駅名の付け方を見れば、外国人には意味がわからないようになってるので、間違いない。
とにかく、自分でカンタンにインド列車の切符が買えるとわかった。
しかし、礼儀正しい日本人として、一度旅行会社に切符を依頼したら、断りにくいものだ。
別に旅行会社が切符を取らないとか、取れないといっているわけでもない。
ただ、とっとと取ってないだけ(多分いつでも取れるので、ぎりぎりに取ろうと考えているのだろう)。
だから、一応「早く切符をよこせ」と文句は言ったが、切符を頼んだままにした。
もちろん、プッシュしたので、出発前に手に入ったわけだが。
僕はこのインド旅行の最初のころは、とにかく、安全第一に考えていた。
だんだん、自分でやっていくことになるが、下手に旅行会社に頼むより、自分でやった方がスッキリした。
男女カップルが、デリーへの列車に乗るのを、バラナシ駅(VARANASI JUNCTION)へ見送りに行った。
これは、ちゃんとさよならを言いたいということもある。
彼らと知り合って、助け合えたからね。
また、列車がどのように出発するか、駅の人の数はどういう状況かを、自分の目で確認したかったせいでもある。
女の子が列車に乗るのを手伝ってあげた。
別れときに、手と手がふと触れ合って、僕たちは何も言わずに、硬く握りあった。
それで、彼女の気持ちは伝わった。
僕の気持ちも伝わっただろう。
旅に出ていると、知り合った人に、男女を問わず、次々と恋をするものだ。
深い関係になるときもあるし、ならないときもある。
僕の経験で言うと、好きになった人とは、何もないまま、きれいな想い出にした方がいい。
きれいな想い出だったら、このバラナシの女の子のように、ずっと好きでいられるからね。
それはそれとして、彼らの列車を見たら、僕がインドの列車で心配していたことは、なにもなかった。
特に、夜行寝台列車では指定席なので、混雑している風でもなかった。
普通に、「2A」とか「3A」の寝台ならば、いまでも、全く問題はない。
若者のバックパッカーは「SL」を使うだろうが、それでも指定席だし、外国人はまとめて席を与えられるので、心配はない。
まあ、一番下のクラスになると、指定席でもないし、メチャ混んでいるのを見たけどね。
日本人旅行者は、個人旅行者も、ツアー参加者も、普通は2Aか3A(またはSL)なので、列車内の混雑とか、治安を気にすることはないでしょう。
これで、バラナシは、見たことになる。
次の目的地、カジュラホへ行くための、バラナシからサトナへの、一等の切符を確保した。
しかし、バラナシの近くには、まだ見るものがある。
あと一つ、「サルナート」へ行くつもり。
そうしたら、バラナシを出る。
多分二度と戻ってくることはない。