アグラフォートからタージマハルへ歩き、インドネシア人の若者と話し、タージマハルを見て、外に出たら、またリキシャーマンにつかまる@アグラ/インド

【アグラフォートにて/1985年1月/イギリス人旅行者が撮ってくれた】
アグラでは、まず、宿からアグラフォートまで歩き、ガイドツアーでアグラフォートを見て、イギリス人旅行者と写真を取り合った
お城の外に出ると、観光客は、だいたい(用意された)車でタージマハルに移動する。
僕はもちろん、アグラフォートからタージマハルまで、歩いていくつもり。
ところが、城の出口には、観光客目当てのリキシャーが待ってるわけだ。
待っていたリキシャーマンに声をかけられる。
もちろん断るが、アグラのリキシャーマンはそんなことで諦めるはずもない。
ところで、「リキシャー」とは、自転車の後方に客を乗せる席が付いているもの。
今では、オートリキシャという、モーターサイクルで引っ張るものもあるけどね。
僕の旅行記を読むと、リキシャーに乗った話が何度か出てくるが、全部、客の僕が降りて、リキシャーを押したりしてるんだよね(涙)。
例えば、この旅で、カトマンドゥで乗ったリキシャーは山の上のお寺かなんかに連れて行くという話だったが、結局、僕はリキシャーを降りて、押した
また、2005年でも、インド東海岸のプリーへ行ったとき、ブバネシュワールで、リキシャーに乗ったときも、降りて押したね。
こんなに力がないなら、仕事ができるはずもない。
どちらも騙されていたと、いまになってやっと気が付いたよ(笑)。
だから、旅行記というものは、旅の興奮のまま書いたら勘違いだらけになる。
しばらく放っておいて、冷静に振り返れる時間がたったあとだと、書くことが深くなるよ。
例えば、旅先で出会った女性が取った態度の意味が、20年後になってわかるようなこと…。
僕がタージマハルまで歩いていこうとすると、リキシャーマンが横にくっついてきて、話しかけて、離れない(涙)。
僕は、すがすがしい、冬のアグラをのんびり歩けば、それが一番。
ところがそんな静かな時間を、くれないんだよね。
次々に声をかけて、「東京の佐藤さんを知ってるか?」などと聞く。
旅慣れてないと、こんなどうでもいい質問に、義理堅く答えてしまうのが、日本人というもの。
話しかけられて、知らない振りをするなんて、普通の日本人にはできないよ。
返事をすると、話をやめることができない。
それは、一度話を始めたら、リキシャーマンが話を続けるからだ。
彼は小型のノートを見せて、僕に見せる。
その中には、日本人が書いた、日本語の推薦文がたくさん書いてあるんだ…。
このノートを見たのは、アグラが最初だったが、この旅で、スリランカへ行ったときは、古都キャンディの客引きも持ってたよ。
確かに、日本人は、感謝の言葉を書いてくれと頼まれれば、書くんだろうね。
そうそう、思い出したが、モロッコでは、悪徳じゅうたん屋に頼まれて、推薦文を書いた女子大生に直接会って、話をしたことがある。
普通親切にされても、その感謝の文章を自分から進んで書くなんてことは、ないよね。
だから、感謝の文章は、逆に、怪しいと疑った方がいい。
それやこれやで、話をしながら、アグラフォートからタージマハルまで、リキシャーマンと僕は並んで歩いたわけだ。
タージマハルに来たら、あっさりと別れて、一人でタージマハルに入る。
昨日一緒だった、オーストラリア人とは、ちょっと期待してたが、やはり会えなかった。
入り口のところで、写真を撮っていた東南アジア人の若者がいたので、話しかけた。
彼は、インドネシア人だった。
僕は、それまでに、バリ島へ行ったことがあったが、バリ島はリゾート地なので、普通のインドネシア人と会ったのは初めてだ。
どういう考えなのだろうと話をしたが、結構金持ちのようだった。
で、行った人はわかるが、タージマハルは、入り口から見ると、小さく見える。
ところが、実は、入り口からタージマハルまでは、かなりの距離があって、実際に行くと、巨大だ。
これが、誰でも定番で、びっくりすること。
それから、近寄って観察すると、モザイクは、案外雑だと思ったね。
タージマハルは、入り口から歩いていって、なかなかたどり着かないので、それが、一番の驚き。
まあ、正直、一度見ればいいという僕の感想。
日本人の中には、熱心な人がいて、昼のタージマハルだけではなくて、夜のタージマハルや、宿の屋上から見るタージマハルなど、いろんな見方をする人もいるらしい。
でもそこまでするほどのことはないと思うよ。
それなら、アグラの郊外にある「ファテープルシークリー」を見に行った方がいいと思います。
もちろんタージマハルが大好きになったら、そうしてもいいけどね。
日本人旅行者は、いまは短期旅行がほとんどだし、時間が足りないから、タージマハルに時間を使うことはない。
デリーにしたって、本当にたくさんの遺跡があるよ。
タージマハルを出たところにも、リキシャーが集まっていた。
僕は、のんびりと歩いて、ホテルまで帰るつもり。
ところが、アグラフォートから一緒だった、さっきのリキシャーマンが声をかけてきた。
ここまでされると、リキシャーに乗るよね、日本人だから。
アグラフォートとタージマハルで、今日の観光予定は終了して、あとはホテルに戻るだけなんだから。
それで、機嫌よく、リキシャーに乗った。
僕は朝から、地図を見ながらアグラを歩いているので、ホテルまでの帰り道は、わかる、
もちろん、ガイドブックを見ながら、確認する。
ところが、リキシャーは、ホテルとは違う方向へ僕を連れて行く。
僕は、「まっすぐ行け!」というが、どうしても道を曲がろうとする。
リキシャーマンは、「土産物屋を紹介するから」、「見るだけでいいから」と言う。
その繰り返しだから、言い争いするのにも疲れてしまって、リキシャーを降りる。
約束した2ルピーに、確か1ルピー色をつけて、支払った。
ホテルに戻って、マネージャーに「アグラのリキシャーは…」と話をした。
マネージャーによると、「客を店に一人連れて行くごとにお金がもらえて、客が品物を買えば、その額に応じて収入になる」そうだ。
行くだけ行って、何も買わなくても、リキシャーマンの稼ぎになったのかと、思ったりする。
でも、僕はバックパッカーで、みやげ物なんか買うと、荷物になるだけ。
最近では、土産物屋に入ったら、何か買うまで外に出さないという、恐ろしいところもあるらしい。
精神的に弱い人は、インドでのこういう交渉に疲れ果ててしまう。
でも、話し相手がほしい人は、向こうからどんどん話しかけてくるので、カンタンに友達(詐欺師)が見つかります。
もちろん、単純に暇だから話しかけてくる人も多い。
自分から話しかけるようにすれば、いいかも。
でも僕は、アルゼンチンで、こちらから泥棒に話しかけたこともあるけどね(笑)。
まあ旅慣れないうちは、何事も慎重にした方がいいでしょう。
さて、アグラ城とタージマハルを見た。
明日は、デリーへ移動しよう。
アグラは、のんびりするところではない。
デリーなら、きっと面白そうな日本人にも会えるだろうし。